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「くそ、ど……」
「無理だ」
「ンッ──!」
俺が抵抗の言葉を発する前に、赤髪に言われそのまま唇が重なる。開いていた口から、ぬめりと熱を帯びた舌が遠慮の欠片もなく突き入れられた。酸素の供給を止めるように咥内を我が物顔で蹂躙する舌に、俺は息苦しさと認めたくない刺激によって為す術もなくされるがままになった。
鉄格子のある窓から微かに入り込む月明かりで照らされた薄暗い部屋に、卑猥な水音が響く。耳から入り込むその水音と、口の粘膜に与えられる刺激によって、次第に感じたくない興奮が増してくる。
「んっ……ふっ……」
「……そんな声出して、誘ってるのか?」
ちゅ、とリップ音を鳴らしながら唇が離れ、耳元で囁かれた際の吐息に、敏感になりつつある身体がびく、と跳ねる。
俺の反応に気を良くしたのか、ふ、と笑い声を漏らした赤髪のもう一方の手が、俺のシャツのボタンを器用に外していく。はだけたシャツの下に見える下着をたくし上げられ、赤髪の掌が肌に触れた。
「ふざ、けるな、んぅっ……」
外気に晒された胸の飾りを摘まれ、噛み締めるのが間に合わなかった口から、上擦った声が漏れた。
「へえ……ここ、感じるようになったのか」
「ちが、……あっ……ん……っ」
撫でるようにころころと転がされると、むず痒い感覚が背筋を伝い、荒い息とともに掠れた声が出てしまう。赤髪が、ふっ、と笑ったのが気配で分かった。
そのまま胸だけを執拗に攻められる。ザラザラとした舌がぬるりと粘り気を伴って乳首を押し潰し、俺の脳に次々と快感を伝え続けた。
「ぁあ……っ……」
触られてもいないのに俺自身は頭をもたげ、ズボンを押し上げる。体を震わせる度、先走りで濡れた自身が布で擦れ、新たな快感が生み出される。
「このままなら胸だけでイけるんじゃないか?」
そんな恐怖の言葉に必死で頭を振るが意味はなく、胸への刺激は一段と激しくなった。その激しさに、脳から理性という言葉が消えそうになる。
「ぁあ……っ、んっ……」
「もっと啼け」
無理だ、と口を開こうとしたとき、赤髪が俺の乳首に軽く歯を立てた。
「あぁあ……っ!」
その鋭い刺激に、文句が出るはずだった口からは嬌声が漏れ、下半身の熱を外に放出してしまった。ぐっしょりと濡れた下着が、女みたいに胸だけで達してしまった証のようで、羞恥に顔が真っ赤になる。
赤髪が俺自身にズボン越しにそっと触れる。それだけで少し感じてしまい、体を捩らせた。
「そんなに良かったか?」
「っざけんな……」
「ズボンまで濡れてるぞ」
ニヤリと笑いながら言う赤髪に、俺は何も言い返せなくなり、唇を噛み締めながら顔を背けた。ベルトが引き抜かれ下着ごとズボンが下ろされたかと思えば、擦れた衝撃のせいかまた勃ちあがりかけている自身を握られる。
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