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 寝室のベッドに大北を寝かせ、胸ポケットに入っていた金色のカードキーを抜き取る。これさえ取り上げておけば、大北がこのフロアから移動することはない。  自分の分とあわせてシャツの胸ポケットに突っ込み、橘はからからになった喉を潤すためにキッチンへと向かった。コップに注いだ水道水を喉に流していると、ふとバスルームの方から微かに音が聞こえてくることに気付く。 「……っ……ぁ……」  小さな、荒い息を吐くような声。これによく似た出し方の声を、少し前まで聞いていた。  まさか。  橘は声の正体を知るべく、キッチンの裏側にあるバスルームへと向かう。 「……んあ……っふ……あぁあ……」  脱衣所の扉を開けば、声の音量が格段に大きくなった。聴く者の劣情を誘うその声は、波のように揺れながらひっきりなしに放たれている。脱衣所の床には、この学園の制服や下着が乱雑に脱ぎ捨てられていて、閉じられたバスルームの曇りガラスの向こうに、何かの影が見えた。  バスルームのドアを開くと、両手を縛られ、猛る自身を紐で縛られ、後ろの蕾にコードのついた何かを挿れられて、顔をぐちゃぐちゃにして喘ぐ水野が全裸で横たわっていた。焦点の合っていない目から透明な滴をぼろぼろと流しながら、水野は先走りで濡れた身体を痙攣させている。 「っあああ……やらぁ……っ!」 「大丈夫か!?」  橘は慌てて水野に駆け寄り、陰茎を縛っている紐を解いて、挿っているものを引きずり出した。 「っあああぁ──っ!」  その瞬間、水野は背を反らせて、自身から勢いよく白濁を噴射した。がくがく、と大きく震える身体はすぐには治まらず、何度か息を詰まらせてような呼吸を繰り返し、やがて床に落ちるようして水野の動きが止まる。橘が自分の顔にかかった精液を拭いながら引きずり出した物を見れば、下手をすると男性のモノより大きな、突起物が沢山あるバイブだった。  大北に捕らえられてからずっと、これに犯され続けたのだろう。埋めていたものを失くした後孔はひくひくと蠢き、その縁は傷こそないものの、赤く腫れ上がっている。まだほんの少しだが痙攣がとれていない水野は、快感が強すぎた所為か失神しているようだった。 「おい……しっかりしろ」  肩を揺すって、頬を緩く叩くが、全く反応を示さない。とにかく何とかしなければと、橘はシャワーで水野の体と自身の顔を綺麗にして、バスルームから出た。手を縛っていた紐を外し、散乱していた床の衣服を拾い集めて水野に着せていく。最後にワイシャツを羽織らせたタイミングで、水野が身を捩った。 「ん……」  目をうっすらと開けた水野は、橘の姿を視界に捉えて目を見開いて飛び起きる。 「た、橘様……!?」 「お前、名前は何だ」 「み、水野、水野蒼衣(みずのあおい)、です……」  水野は怯えたように体を丸めながら答える。 「水野、自分で部屋まで帰れるか?」 「えっと……多分大丈夫……です……」 「なら今すぐここを出て帰った方がいい。成海を怒らせてしまったからな」  橘の言葉を聞いて、一気に死人のような顔色になった水野は、震え出した身体をさらに丸め、羽織らされたワイシャツのボタン部分を両手で交差するようにぎゅっ、と掴んだ。

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