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幼き誓い 6
「柊一、雪也のことよろしくね」
「はい。お父様とお母様はどちらに? 」
「今日は取引先のパーティーに招かれているのよ。本当はこんな日に出かけたくないけど、仕方がないわ。今日は少し遠い場所なので、パーティーの後、ホテルに宿泊してくるわね。何かあったら瑠衣を頼ってね」
「わかりました。いってらっしゃい!」
「瑠衣、子供たちのことをよろしくね」
「畏まりました。いってらっしゃいませ」
夜になって出かけていく両親のことを、玄関のポーチで瑠衣と一緒に見送った。
黒塗りの車が見えなくなると、不安だけが残った。
その不安を雪也も感じたのか……
「にーさま……あのね」
「ん? どうした?」
雪也の小さな手が、ギュッと僕の手を握ってくる。
「……すこし、こわい」
「どうした?」
「わかんないけど、こわいよ」
「僕がいるよ。僕がずっと雪也を守ってあげる」
「うん!ユキには、にーさまがいるもんね」
雪也の手はとても温かかった。
子供の体温ってポカポカだ。
まるでいつも瑠衣が用意してくれる湯たんぽみたいだ。
「さぁ外は寒いですよ。中へ入りましょう。そろそろお休みの支度をしないと」
「ねーねールイ、ユキ、きょうはにーさまのベッドがいい」
「そうですね……いいですよ。今宵は特別ですよ」
「やったぁ~ルイもにーさまも、だいすき!」
雪也が天使のような笑みを見せてくれるので、僕もつられて微笑む。
雪が降っていても温かいよ。 雪也のおかげで心もポカポカだ。
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