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幼き誓い 7

 白と水色のタータンチェックのネルのパジャマに着替えた雪也が、瑠衣に手を引かれ僕の部屋にやってきた。  まるで雪の精みたいに可愛い僕の弟。  「坊ちゃま、今日は雪也さまのことを、よろしくお願いします」 「うん、瑠衣。今日はありがとう。久しぶりに弟と一緒で嬉しいよ」 「それは良かったです。何か御用がありましたら、このベルを鳴らしてください。お休みなさいませ」 「分かった。お休みなさい。瑠衣も今日はゆっくり休んで、明日は寝坊してもいいよ」 「ふっ……執事に寝坊なんて似合いませんよ」  瑠衣は優美な笑顔を残して、一礼してからドアを閉めて行った。 「にーさま!」 「おいで、雪也!」  久しぶりに雪也と一緒にベッドに入った。 「にーたま、これよんでぇ」 「また戻ってる。『にいさま』だろう?」 「うぅ……でも、にーたまのほうが、いいやすいんだもん!」 「くすっ、今日はそれでもいいよ」  まだ舌ったらずであどけない雪也が持ってきたのは、さっき僕が誕生日プレゼントにあげたばかりの絵本だった。  久しぶりに触れる童話の世界……おとぎ話の世界だ。  雪也が生まれた時に兄として、もっと毅然とすべきだと、この手の本を封印してしまった。あんなに好きだったのに。  この由緒正しい名家の跡取りとして、父が望む教育と資質を、母が望む逞しい兄にならないと、そう誓ったから。    「にーたま? どうしたの? はやく、はやくよんで」 「うん、いいかい? えっと……昔々あるところに白薔薇で覆われた古い煉瓦造りのお城がありました。お城には美しく清らかなお姫様が住んでいました」

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