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幼き誓い 9
未来の当主と弟君……
同じ部屋で過ごしてもらうのは、久しぶりだった。
旦那様から、柊一様を次期当主へと育てるための帝王学を一任されていたから、なかなか叶わないことだった。
それに柊一様も雪也様が生まれてから、兄として次期当主としての自覚をお持ちになり、自立を目指されていたから不要だと判断していた。
でも今日のお誕生日会でお二人の仲睦まじい様子を見ていると、もう少し、お互いに触れ合う時間が必要だと感じた。
柊一様はまだ13歳。ようやく中等科の1年生になったばかりだ。
こんな雪の降る寒い日には……血の通った兄弟同士で温もりを分け合い、暖を取ってもいいだろう。
かつて……僕がそうであったように。
二階の執事室の小さな窓にそっと手をあてると、凍ってしまいそうな程冷たく張り詰めていた。
その先の外の景色に目をやると、中庭の白薔薇の葉に真っ白な雪がこんもりと積もっていた。
都内でここまで積もるのは珍しい。
なんとなく人恋しくて、ぼんやりと雪が舞い降りてくる様子を眺めていると、突然、書斎のデスクの上の黒電話が鳴り響いた。
こんな時間に一体誰だろう?
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