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幼き誓い 11
その晩、まるでおとぎ話のように不思議な夢を見た。
外に降り積もる雪が、いつの間にか白薔薇の花に変わっていた。
窓の外を見つめていると、純白のマント姿の騎士がやって来た。
あぁ僕がずっと待っていた人だ。
『君を助けに来たよ、さぁこっちへ』
ところが伸ばされた手を取ろうとしたのに届かない。
もどかしくて必死にバルコニーの手すりから身を乗り出した。
「届かないです……」
すると彼は突然踵を返し、来た道を戻ってしまう。
「待って!」
手を思いっきり差し出した拍子に、ガバっと飛び起きてしまった。
「あ……夢か」
耳を澄ますと……小さな苦し気な呻き声が、暗闇に聞こえた。
何かな?
だんだん大きくなってくる。
え……これって、もしかして雪也の声?
夜中に起きるなんて滅多にない子なのに、どうした?
「んっ……ふっ、うっ」
「雪也? ユキっどうした?」
怖い夢でも見て、うなされているのかと最初は思った。
「怖い夢でも見ちゃったの? 兄さまがいるから、大丈夫だよ」
暗いのが怖いのかとベッドサイドのテーブルランプをつけてあげた。
「雪也?」
部屋が明るくなると、小さな雪也が白いシーツに蹲って苦しんでいるのが灯され驚いた。
肩ではぁはぁと息をして心臓のあたりを押さえている!
漆黒の瞳はギュッと閉じられ、そこから苦しい涙がだらだらと流れていた。
「どっ、どうしたの?」
「に……たま。おむねがいたい。ここ……いたいよぉ!」
必死に抱き寄せるが、痛い苦しいと訴えるだけで目を開いてくれない。
「兄さまだよ。雪也! しっかりして! 」
「にーたま……こわいっ……こわいよぉ」
そうだ! 瑠衣を……執事の瑠衣を呼ばないと!
これはただ事じゃない。
先ほど言われた枕元の呼び鈴をけたたましく鳴らし、声の限りに彼を呼んだ。
「瑠衣! 瑠衣ー!!」
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