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幼き誓い 15

「海里、どうだった? 雪也さまの容態は」 「あぁ精密検査が必要だが、おそらく子どもの心筋症ではないかと」 「え……心筋症って……大人の病気じゃ……こんな小さな子供でもなるのか」 「あぁ子どもが心筋症を発症する数は少ないが、確かに存在するよ。この坊やは肥大型心筋症かもしれないな。今日は突然の不整脈で呼吸が苦しかったのだろう、可哀想に」    海里の言葉に絶句してしまった。   「なんで……そんな……産まれた時から、お傍にいながら今迄気づかなかったなんて、僕のせいだ」 「いや、意外と幼稚園入園の検診などで偶然見つかるものだ。そう自分を責めるなよ」 「だが、どうなってしまう? 雪也さまは……まさか」  思わず海里の白衣の襟元を掴んでしまった。 「おい、お前が動揺してどうする? 本人が一番怖いだろう。肥大型心筋症は激しい不整脈を伴わなければ予後のよい心筋症だ。5年の生存率は8~9割以上だぞ」  生存率……  胸が塞がる想いだ。だが生きる可能性にかけないと。僕が弱気でどうする。雪也さまのご両親とお優しい柊一様の顔が過っていく。 「あっあぁ悪い。お前の言う通りだ。どんな治療法がある?」 「心筋の肥厚を抑える薬物治療の効果があるよ。あとは運動制限が必要になるな。まだ小さいから今すぐ手術は出来ないが、中学生位になったら外科的な手術を行うこともある。とにかく暫く入院して精密検査をし、その後は定期的な通院となるだろう」 「……お前が診てくれるか」 「俺はまだ外科医としては見習いだぞ」 「お前がいい、海里にずっと診てもらいたい」 「分かった。上に掛け合っておくよ。俺はまだ助手だが、主治医にいずれなれるように努力しよう」  海里が傍にいてくれる!  それがどんなに心強いことか。 注意◆心筋症については『日本心臓財団』のHP内の「子供の心臓病について」を参考にしました。但しこちらはあくまでも創作小説であり、症状等の詳細はすべてフィクションです。どうぞご理解くださいませ。

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