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予感 6

「柊一も、間もなく大学四年生か。早いものだね。跡継ぎとして勉学に励んでくれて頼もしいよ。お前は自慢の息子だよ」  父からの賞賛が、くすぐったくも嬉しかった。 「はい。もっともっとお父様のお役に立つように精進致します」 「うむ。そこで折り入って相談なんだが……」 「はい?」  なるほど、今日ここに呼び出された理由がようやく分かった。 「この家から瑠衣がいなくてもやっていけるか。お前が瑠衣の代わりに家を取仕切ることが出来るか」 「え……どういう意味です?」     父の真意が見えない。  どうして瑠衣を?   瑠衣は冬郷家にとって大切な執事だ。  雪也だってあんなに懐いているのに…… 「実は……瑠衣を是非にと求められてね。彼に執事としてのステップアップをさせたいのだ」 「そんな……一体、瑠衣をどこへ」    父が一通の白い封筒を差し出した。  その中身を見て驚いた。  そうか……そうなのか。  瑠衣にとって悪い話でないのなら、僕も送りだしてあげなくてはいけないのだ。そう悟るのに時間はあまりかからなかった。 「分かりました。僕が瑠衣の代わりに頑張ります」 「よく言ってくれたな。柊一は流石、わが家の跡継ぎだ」 「はい……」 「では誓いを……この白薔薇の屋敷を瑠衣に代わって、代々守ってくれるか」  僕の生涯で2番目の誓いを、父と結ぶ。  あの日は幼い雪也を生涯守ると……雪が積もった病院の屋上で誓った。  そして今日は同じように雪が積もった僕の屋敷の中庭で、誓約する。  振り返れば白い煉瓦造りの屋敷は雪化粧し眩く輝き、まるで白亜の古城のように見えた。 「お父様に僕は誓います。この家を守ると……必ず!」 「あぁ任せたよ。柊一を頼りにしている。明日からは私の右腕として大学に通いながら仕事も少しずつ教えていこう。さぁ瑠衣にも話さなくては……お前も同席しなさい」 「分かりました」

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