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誰か僕を 20

ご注意! 地雷がある方は回避して下さい! 次話以降をオススメします…… もう少しで抜けて、あとはハッピーエンドに駆け上がります! **** 「さぁワインを早く飲まないか」 「嫌ですっ、この手を離してください」 「おいおい、ここまで来てそれはないだろう。部屋を取ってあるんだ。上に行こう」 「やめっ」  どうしよう……何てことだ!  茫然としている間に、あっという間に引きずられるように非常口から会場の外に出てしまった。こんな場所で大きな声を出せば恥をかいてしまう。  そんなちっぽけなプライドが、僕の抵抗を邪魔をしたのだ。 「弟を助けたいのだろう? 言うことを聞きなさい。弟が死んでもいいのか」 「うっ……」  あぁ……僕の大事な弟の雪也が発作で苦しんでいる姿を思い浮かべてしまった。あの苦しみを解放してやりたい。ちゃんと手術を受けさせてやりたい。でも両親が残してくれた会社は潰れ……借金まみれの日々で、今の僕の給料では到底無理だ。 「あっ!」  エレベーターに有無を言わせぬ勢いで乗せられ、とうとうホテルの客室まで連れて来られてしまった。  もう……覚悟を決めないと。  僕が一晩我慢すればいいだけだ。  女の子じゃあるまいし、減るものではない。  そんな経験なんて全くないのに、自分に必死に言い聞かせていた。  「さぁ入るぞ」  もう……諦めよう。  この一歩で僕は堕ちる。躰を売る男娼になる。  逃げないといけないのに、足が動かない。  柊一、今まで生きてきた誇りを捨てる気なのか……  結局、抵抗らしい抵抗も出来ず、僕は客室に押し込まれてしまった。 「はははっ、いい子だね」  紳士的な仮面を脱いだ医師を名乗る中年男は下品な笑いを浮かべながら、僕をベッドへと乱暴に突き飛ばした。 「やめてください! 嫌……っ」  そのまま馬乗りになり、あっという間に僕の抵抗を封じていく。  一気に恐怖が駆け上る。  無理だ……  こんなこと無理だった。  僕が間違っていた!  もっと早く決断すべきだった。  逃げるべきだったのに!  後悔が……ぐるぐると頭の中で暴れ出す。 「やめて下さい! 僕はそんなつもりでは……」 「おいおい、ここまで付いて来たくせに、今更それはないだろう? これは同意の上の行為だろう?」 「違う! 僕は同意していない!」  言葉の抵抗なんて……この状況では何の意味もない。  僕の大切なスーツは力任せに無残に脱がされ、ワイシャツの釦を飛ばされ……露わになった素肌に手が伸びてくる。  ネクタイを抜き取られ、ワイシャツを開かれ……平らな胸を力任せに揉み解され、下半身のベルトも外されてしまった。 「やめろっ──やだっ」  恐怖と吐き気。  涙がボロボロと溢れ、視界が霞む。  これはレイプだ。  同意なんてしていない!    僕の少しの迷いが、とんでもない方向へと導いてしまったのだ。  厚ぼったく毛深い手で脚を掴まれ内股を執拗に撫で上げられ、胸元をザラザラな舌でベロリと舐められてしまい、もう耐えきれずに悲鳴をあげた。 「いやあっ──!」  気持ち悪いっ!  酒臭い息でそのまま乳首を吸われ、あまりの嫌悪感に全身に鳥肌が立ち吐き気がこみ上げる。  僕は無我夢中で必死に抵抗した。 「誰かっ 誰か助けてっ!」  このホテルには誰も知り合いがいない……誰も助けてくれない。  それでも諦めたくなくて客室のドアに向かって叫んだ。  必死に手を伸ばしていた。 「誰かっ──!」 「このっ静かにしろ! これ以上暴れつもりなら、これで縛ってやる!」  彼の手には、僕のネクタイが握られているのが見えた。  もう駄目なのか、誰か僕を──   たすけて…… 『誰か僕を』了

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