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希望の星 3

 目覚めると、病院の天井が見えた。  何度も入院したから見覚えがある……ここは海里先生の病院だ。  やっぱりさっきのは幻じゃないんだ。  先生が発作を起こした僕を助けてくれたに違いない。 「兄さま……どこ?」  キョロキョロと辺りを見回すが兄の姿はなかった。その代わり白衣の海里先生がやってきてくれたので、ほっとした。 「海里先生!」 「あぁ雪也くん気が付いたかい?」 「はい……先生が僕を助けてくれたのですね。僕の家に来てくれて」 「そうだよ。ようやく君のお兄さんと知り合えて家まで送って来た所だった。今日はかなり大きな発作で辛かったろう。応急処置が出来たので大事に至らなかったが……危なかったよ。本当に良かったよ」 「そうだったんですね。先生は兄さまとやっと……知り合えたのですね」  発作は怖かったが、兄さまと海里先生がようやく出会ったのは嬉しい知らせだった。  でも、ということは……やはり…… 「やっぱり、パーティーで何か恐ろしいことがあったんですね」 「うん……雪也くんが知らせてくれなかったら大事になっていただろう」 「先生が兄さまを助けてくれたのですね。そして僕のことも助けてくれた。本当に海里先生はすごい……ありがとうございます」  海里先生は、少し照れくさそうに微笑んだ。 「なぁ雪也くん。どうか驚かないで聞いてくれ。俺はね、君のお兄さんのことが好きなんだ。この意味が分かるかい?」  そんなの……とっくに知っています。とは言えなかった。  だっていつも海里先生はこっちが照れるほど、行動にも顔に出ていたから。弟の僕が簡単に気が付くほどにね。残念ながら兄さまは少しも気づいていなかったけれども。 「分かっているつもりです。あの……僕、全面的にそのことを応援します」 「そうか! 良かったよ。大事にしたいんだ。お兄さんのことも雪也くんのことも」  わぁ……くすぐったくて甘い、魔法の言葉だ!  悪い魔女や野獣に襲われそうになった所を、王子さまに助けてもらったお姫さまの気分だ。こんなに大人でカッコいい先生なら、僕の大事な兄さまのことを安心して託せるよ。  兄さまは僕のことをまだまだ頼りない子供だと思っているけれども、家で寝ていることが多かった分、実はいろんな物語を知っているんだよ。  兄さま……聞いて。  これはね、とびきりのハッピーエンドに向かう物語だよ。 「お兄さんを探してくるから少し休みなさい。今後の治療のことを話してくるよ。きっと治るから、大丈夫だ」 「はい……おやすみなさい」

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