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希望の星 7

 屋敷で発作を起こした雪也くんに応急処置を施し、柊一が呼んだ救急車に一緒に飛び乗った。  車中で彼は前屈みになり、自分の口元を押さえ……真っ青な顔で小刻みに震えていた。 「大丈夫か」 「……」  救急車の中でなかったら、俺のこの腕で抱きしめてやりたかった。それ程までに悲壮な顔をしていた。  痛々しいよ。  もうそんなに一人で耐えなくていい。    雪也くんの症状が落ち着いたら、すぐにそう言ってあげようと誓った。  病院到着後……柊一は待合室へ、俺は雪也くんの主治医として処置室へと移動した。  応急処置のお陰で雪也くんの発作は無事に収まり、そのまま一般病棟に入院することになった。  俺はカルテを記入したり薬の処方をし、少し遅れて雪也くんの病室を訪ねたのだが、柊一は何故かいなかった。 「海里先生!」 「あぁ気が付いたかい?」  雪也くんは思ったより元気そうで、俺と柊一がやっと出会えたことを素直に喜んでくれた。だから俺もつい、白衣を着ている時に告げるべきでないと思ったが、一刻も早く彼の唯一の家族の許可が欲しくて、柊一への募る思いを伝えてしまった。 「なぁ雪也くん。どうか驚かないで聞いてくれ。俺はね、君のお兄さんのことが好きなんだ。この意味が分かるかい?」 「分かっているつもりです。あの……僕は全面的にそのことを応援します」  雪也くんは勘の鋭い子だ。  とっくに気づいていましたとでも言わんばかりの明るい笑みで応えてくれた。  心強い……君が応援してくれるのなら百人力だ。  雪也くんはホッとしたのか目を擦り出したので、少し眠るよう促した。    雪也くんの脈を確かめた後、今後の治療方法を柊一に説明する書類を書くために、一旦離席した。  未だ動揺し呆然としたままの彼に「君の弟は助かる!ちゃんと大人になれる!」と早く伝えて、安心させてやりたかった。  それから俺をちゃんと見て欲しかった。  ところが次に雪也くんの病室に戻ると、ベッドがもぬけの殻だった。  柊一と雪也くんの姿が、見えない。  柊一が連れて行ったのか。  でも一体どこへ?   嫌な予感がする。  胸がざわざわとする。  雪也くんはまだ安静にしないといけないのに、こんな状態で連れ出すなんて……慎重にひたむきに生きてきた君らしくない!  いやそもそも柊一自ら、あんなパーティーに行ったこと自体が既におかしいのだ。  つまり、今の彼はそれほどまでに切羽詰まっているのだ。  救急車に乗っている時の目は虚ろで、俺をやっと見てくれたと思ったのもつかの間、君の瞳には何も映っていない虚無感を感じてしまった。  まさか──  その時、病室の少し開いた窓から、一陣の風が吹き込む。  微かな話し声が、風に乗って届いた。  この声には、聞き覚えがあった。  まさか二人は屋上に?  ぞくりと粟立つ……  これは危険信号だ。 「まさか! 何故?」  俺は廊下を真っすぐ走り、階段を駆け上った。  駄目だ!  早まるな!  簡単に諦めるな!  俺がいる!  俺をちゃんと見て欲しい!    

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