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花の蜜 63

 そのまま膝頭を掴まれ左右に大きく開脚されると、信じられない程の淫らな姿になった。  こんな姿を曝け出すなんてと、羞恥で震える。  そんな僕の事を、海里さんが巧みな舌使いで追い詰めてくる。 「あ……駄目っ、そんなにしないで」 「柊一……柊一」 「ん……嫌だ……その声……響く」 「ここに?」 「海里さんっ……あっ」 「柊一、愛してるよ」  艶めいた官能的な声で、下半身の薄い茂みをひたりと撫でられたので、びくっと腰が浮いてしまった。  色っぽい仕草で僕のものを舐め続ける海里さんの姿は、壮絶な色気に溢れていて、蹴落とされてしまう程だ。 「いいね、柊一のここ。淡い色で……綺麗で美味しいよ」 「そんな風に言わないでください」    海里先生の言葉が、あまりに淫靡で官能的でクラクラしてしまう。  必死に内股に力を入れて閉じようとしても、許してもらえない。  僕の方も……気持ち良さが、心より先に走ってしまう。 「あっ……んんっ──」  何……これっ……何か僕のものから溢れ出て来た。  ドロリと。  先端から次々と生まれる蜜は、海里さんの口腔内にジュっと音を立て、吸い取られていく。 「あぁっ、そんな風に吸わないで……っ」  想定外の行為に翻弄されていく。  でも海里さんが触れてくれるのは、嬉しい。  きっとこのまま僕の全てを攫って行くのだ。  攫って欲しい。 「まるで……これは『花の蜜』のようだ」 「嫌だ。そんな風に言うなんて……」 「まだ固い蕾だ。俺の手で綺麗に咲かせてあげたい。ゆっくりするから怖がらないでくれ。気持ちよくさせたいのだ」  本能的に何が次に起きるかを察知した。 『男性同士でも、しっかりと繋がれるのです。ただ柊一さまの入り口はまだ固く閉じているので、海里に優しく時間をかけて解してもらって下さい』  瑠衣に聞いた時、彼はそう言葉を濁してしまったが……  今ならはっきり分かる。  固い蕾の位置……男性同士で繋がるために使う場所を……  そうだ。瑠衣から繋がるために必要な魔法の小瓶を預かっていたのだ。 「あっあの……」 「どうした? 怖いか」 「怖いけど……続けてください。でも僕、海里さんにお渡しするものがあって」 「ん? 何?」 「あの、その……ベッドサイドの引き出しに」 「ここに?」  海里さんは僕をシーツに組み敷いたまま手を伸ばして、引き出しを開けた。 「これか」 「瑠衣がくれました。それがあれば、きっと夢は叶うと」 「なるほどな……瑠衣らしい気の遣い方だ」  彼は『硝子の小瓶』に入った液体を手に垂らして、微笑んだ。 「確かに香りのいい上質なものだな」 「薔薇のような香りが」 「潤滑油だよ。これは……」  香油を纏った海里さんの指が、僕の蕾にぴたっと触れた。その周りにも油を垂らさせて、手の摩擦で温められていく。 「力を抜いて……」 「はっはい」  いよいよ、さらにまた進むのだ。  そう思うと躰が強張ってしまった。  海里さんは、そんな僕の額に口づけし……甘く囁いく。 「柊一……聞いてくれ。make loveには……女性も男性もない。愛する人と躰を重ねて営みたくなる気持ちは自然なことだ。どうか心のままに……俺に心を委ねて……』  何度も何度も呪文のように唱えてくれると、僕の躰からも力が少しずつ抜けていった。

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