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花の蜜 65

 僕の震える中心がいよいよ丸見えになってしまい、流石に戸惑った。  「はっ!」  短く息を呑んだ。  僕は今……なんという姿をさらけ出しているのか。  海里さんも、うっすらと素肌に汗をかき、切羽詰まった表情を浮かべていた。 「あぁ……ううっ」 「いくよっ!」  パーティーで出逢った僕たちは、今一つになっていく。  海里さんが強く深く、僕を貫いてくれる。  僕を永遠に、この白薔薇の洋館に繋ぎ止めて欲しい。  ぐぐっと挿入さて、喉をカクンと反らした。  繋がっている部分が、ヒリヒリと痛んだ。  それでも受け入れた。  じわりと、彼の愛情が沁み込んでくる。 「あうっ……ううっ……」  充分に慣らしたとはいえ、初めての行為だ。  どうしても……視界が滲んでしまう。  破瓜の痛みを必死に呑み込んでいると、彼が心配そうに見つめてくれた。  そして目尻に溜まった涙を、優しく吸い取ってくれた。 「痛いよな……大丈夫か」 「うっ……」 「ずっと待っていた。この日を……君が俺のものになってくれる日を」 「それは……僕の台詞です。あなたは……僕の騎士のよう」  その言葉に彼が、ふわりと微笑む。 「柊一は一見……クールビューティーなのに、中身は相当なロマンチストだな」 「なっ、そんなこと」 「いいよ、それで……それが可愛い」 「あっ、あっ……」  次の瞬間、グイっと上体を起こされた。 「えっ、こんな格好……駄目ですっ──無理っ」 「落ちてしまうからじっとして。俺も柊一をよく見たい」  海里さんの大きな手で腰をがっしり掴まれ、そのまま、まるで乗馬をしているかのように、彼の胴体を跨いだ格好で、ゆさゆさと揺さぶられてしまった。 「ああっ!うっ……ううっ」 「くっ──」  ふたりで草原を駆け抜け原っぱに寝転んだような、ふかふかな温かい気持ちになった。  そして夜露を迸りながら、共に果てた。 「ううっ……」 「大丈夫か。一度息を整えて……」 「あっ……はい」  こんな時でも……海里さんは医者のように僕を気遣ってくれる。  繋がった部分から、花の蜜が滲み出ていた。 「ふぅ……すごかったです」 「俺もだ」 「僕は……ちゃんと出来たんですよね」 「あぁ最後までね」 「……よかったです」 「俺のために、頑張ってくれてありがとう」 「いえ……僕のためでもあります。あなたと共に航海に出るために」 「俺たち、ずっと一緒だ。もう離さないよ」 「はい…っ」  再び姿勢を逆転され、シーツの海に沈められた。  そして覆い被さってくる海里さんとぴったりと抱き合った。  ふたりで見上げた青空は、どこまでも澄み渡っていた。  青い空、緑の芝生。  寝そべる僕たちの躰に、洋館の白薔薇が風に乗って舞い降りてきた。  おとぎ話の結末は、きっとこうだ。 『白薔薇の咲くお城で、ふたりはいつまでも仲良く暮らしました』  これは僕らだけのハッピーエンド。  海里さんと僕が紡いでいく、これからの人生。  全てはこの白薔薇の洋館で営まれていくだろう。  海里さんあなたと! 『花の蜜』 了

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