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その後の日々 『執事レッスン』 5
「テツさん、今日はありがとうな」
「どうした? 改まって」
「その……おれの淹れた紅茶を最後まで飲んでくれてさ」
「あぁそんなことか。お前が俺のために淹れてくれたものなら、何でも美味しいさ」
そう伝えると、桂人は神妙な顔をした。
「どうした? 気に障ったか」
「そんな無条件に……簡単に認めたり褒めないでくれよ。おれは……慣れてない」
誰かに認められることも褒められることも……皆無だったのが桂人の今までの人生なのだと痛感した。
「これから慣れろ」
午後は庭仕事をしたので、汗と泥にまみれた桂人の躰を、丁寧に洗ってやる。泥が落ちると桂人の際立つ美貌が露わになって、一気に煽られてしまった。
「桂人……」
「ん……ここでスルのか」
「お前の躰には煽られるからな。駄目か」
「いいよ」
桂人のしなやかな背中を浴室のタイルの壁に押し当てて、キスの雨を降らす。シャワーに負けないほど、激しくな。
「う……うっ、ちょっと待って! 息ができないよ」
一度触れ出すと、肩で息をして喘ぐ桂人を、もっともっと欲しくなる。
甘美な誘惑だ。色香を放つ裸体を前に、俺は今まで築き上げてきた我慢というものを捨てる。
彼の腰をしっかり押さえて対面するように屈み……桂人の感じている部分を口に含んでしゃぶった。
「あ……んんっ、テツさん、少し落ち着けって! 」
「なんでだろうな? あの紅茶を飲んでから……躰が妙に昂っているんだ」
「え、そんな」
そうだ、あの紅茶を飲んでからだ。どくだみのような紅茶が、俺の躰の中で妙な化学反応でも起こしたのか、今日の性欲は恐ろしい程に貪欲だ。
「や……もう、出る。離してくれっ」
「駄目だ」
唇を窄めて一滴残らず吸い上げて、タマを手で揉み解す。
更に手で絞り出すようにして味わうと、桂人は頬を赤らめ困惑していた。
「どうだ? いいか」
「テツさんは獰猛だ……だが、それも、いいよ」
「煽るな」
浴室から彼を濡れたまま連れ出して寝床に押し倒し、覆い被さって愛を貫く。俺の心臓はますます煽られ、バクバクと早鐘を打つ。
「テツさん……テツさん。もう……くれよ」
桂人が感じ過ぎて泣き出すまで、俺は彼を獰猛に貪欲に突いた。
「もう……駄目っ、もう……眠りたいよ」
「俺はまだ眠くない」
「あぁっ……こんなことなら……瑠衣さんの言う事、ちゃんと聞けばよかった、アッ……んん」
「駄目か。怒っているのか」
「いや……気持ちいいよ……んっ、もっと欲しい」
シーツの上で、俺に感じてよがる桂人がどこまでも愛おしく、夜通しで抱き潰してしまった。
明け方「今日の執事レッスンも残念ながら捗らないだろう。瑠衣、すまない。許せよ」と瑠衣に詫びをいれて、俺も一気に眠りについた。
ここまでやり通して、やっと眠れた。
実に恐ろしい紅茶だ……
何かのまじないだったのか。
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