412 / 505
永遠の誓い 4
「瑠衣、本当にありがとう! アーサーさん、僕をたくさん励まして下さってありがとうございます!」
「雪也さま、また来ますからね、次はもっともっと、お元気になっていて下さいね」
「うん、瑠衣を驚かすよ!」
「楽しみにしております」
「アーサーさん、今度は僕が英国に行ってみたいです」
「おぅ、その時はロンドンの家に招待するよ、楽しみに待っているよ」
二人の乗った車が見えなくなるまで、兄さまと手を振り続けた。桂人さんはいつものように木の上から見送り、テツさんはさり気なく白薔薇の手入れをしながら見送っていた。
皆、自分たちらしく、見送った。
もはや家族の一員のような存在の瑠衣とアーサーさんなので、別れが永遠でないと分かっていても寂しいものだ。
「あ〜あ、見えなくなってしまいましたね」
僕ががっかりと肩を落とすと、兄さまが抱きしめてくれた。
「ゆきには、僕がいるよ、あと海里さんも」
「あ、海里先生だ。すごい勢いでこちらに」
あっという間に近づいて、僕らの前に、海里先生が息を切らせて立っていた。
「ハァハァ、瑠衣とアーサーは?」
「ちょうど今さき程。残念ながら行き違いでした」
「そうか、思ったより早く上がれたから会えるかと思ったのに、悔しいな」
海里先生でもこんなに悔しそうなお顔をするんだな。20歳以上も年上なので、完璧な大人の人だと思っていたのに。
すると兄さまが、海里先生の額の汗をハンカチで拭って差し上げていた。
「あ、あの……僕は海里さんと1分1秒でも早く会えるのが嬉しいです」
兄さま……兄さまってなんて可愛らしくいじらしい人なんでしょう!
僕、感動してしまいます!
ずっと兄さまに守ってもらってきましたが、手術を乗り越えた僕だから思うこと。
兄さまらしく、ずっと永遠ににそのままでいらして下さい。
ここはまるでおとぎ話のよう。
優しく甘い時間が流れている。
「柊一、参ったな。君は可愛すぎるよ、俺の中に閉じ込めてしまいたくなる」
「え? あ、あの海里さん、駄目です、皆、見ていますからっ」
キスを強請られる海里先生に、兄さまはタジタジだ。
感動した海里先生が兄さまをとても深く抱きしめたので、僕も桂人さんもテツさんも、それぞれの場所に戻っていった。
コホン、えっと続きは次の頁でどうぞ!
ともだちにシェアしよう!