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永遠の誓い 5
おとぎ話の夜は、甘い。
どこまでも……蕩けそうに甘くするのが慣例だ。
今、俺は……柊一の着崩すことを知らないスーツを脱がせ、共に風呂に入り、隅々まで洗っている。
「ア……あの……そ、そこは自分で洗います」
キュッと内股を締めて、緩やかに勃ちあがっているものを隠そうとする様子が異常な程可愛いのだから、困ったものだ。
そんな姿をしては駄目だよ。かえって俺を煽るだけだよ。
「いいから、君は病み上がりだろう」
「も、もう完治しました」
「では、いいじゃないか、俺が触れても……」
「あ、あれ……? 海里さん、言っていることが支離滅裂です……あっ、んん」
確かに!
柊一に思う存分触れられるのが嬉しくて、溜まらないのだ。
今の俺は、もう女の色香に靡かない。
この気高い同性の柊一を、生涯をかけて抱き続ける。
それが俺の永遠の誓い、永遠の愛だ。
「海里さん、僕……今日……嬉しかったです。いつもならもっと遅いのに……あ、あの……僕が毎日どんなにお帰りを待ち詫びているかご存じですか」
「今日も嬉しいことばかり言ってくれるんだね。ありがとう」
後妻の息子で次男。生粋の日本人ではない中途半端な俺を、ここまで引き上げ、俺自身の自尊心を取り戻させてくれたのは、柊一だ。
君と過ごす日々は、お互いを尊重しあえる日々だ。
「それは……好きだからです。こんなにお慕いしてよいのかと不安になる程、好きなんです。僕の……王子様です」
柊一が、やってくる……おとぎ話の世界の奥深くに……。
俺は優しくて、それでいて冬郷家の当主らしく凜としている柊一を、シーツの上に組み敷いて、熱心に蕩けさせていく。
「そうだ、いいよ。そのまま……足をもう少し広げて……ゆっくり息をして……」
「は、はい」
柊一の蕾を、指で解してやる。彼の慎ましい入り口は、すぐに貝のように閉じてしまうので、毎回指で丁寧に広げてあげるのだ。
「ん……んっ、ん」
「可愛いね、好きだよ」
「あ……」
「痛くはないか」
「はい……も、もう」
「ゆっくり……息をして、指を増やすよ」
俺も男だから時に獰猛に抱きたくなるのではと思っていたのだが、可憐で可愛い君の前では、何故かどこまでも紳士的になってしまう。
それが窮屈ではなく、嬉しいのだから不思議だね。
これも……もしかして『おとぎ話の魔法』なのか。
優しく愛おしむ。
それが俺たちの愛。
アーサーと瑠衣が英国に戻ってから、こんな夜を幾度となく迎えた。
季節は少し進み……冬から春へ。
そして風薫る五月になっていた。
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