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特別番外編『Happy Halloween 海里&柊一Ver. 』
「海里さん、今日はHalloweenなんですね」
「あぁ、そうだったな」
「街に出たら、仮装した人達で賑やかでしたよ」
「そうなのか、俺も学生時代には仮装して楽しんだよ」
「いいですね。僕は……勉学に忙しくて、そういうお楽しみとは無縁でした」
ベッドの中で柊一を抱きしめると、ふと少し寂しそうな瞳で見つめられた。
「叶えてやりたいな。そうだ、俺たちだけで今からハロウィンをしないか」
「え! 今から……そんなこと出来るのですか」
「もちろんだよ。俺の言うことを聞いてくれるかい?」
「もちろんです。僕、どんな姿にでもなります」
「そう? じゃあ、少し待って」
こんな日のためではないが、一度見てみたいとこっそり購入して持ち帰ったあの衣装が役に立つなんて!
衣装部屋の引き出しにしまっておいた、白い衣装を取り出した。
****
「えっ! これを……本当に僕が着るんですか」
「駄目かい? 君に良く似合いそうだ」
「そ、そうでしょうか。でもナースの資格なんて持っていないのに着ても良いのでしょうか」
心配になって確認してしまうと、海里さんがとても上機嫌に僕を抱きしめてくれた。
「ははっ、それとこれは別だ。柊一は特別だ。さぁ着せてあげよう」
とても恥ずかしかったけれども、興味の方が勝って、僕はナースの姿に変身した。
「鏡を見てご覧。こんなに可愛いナースは他にいないよ」
「これが僕……?」
「そうだよ」
仮装ってすごい! 衣装を替えるだけで、本当にナースに見えるなんて。
「あの、海里さん……僕に何か魔法を?」
「そうだよ。君にハロウィンの魔法をかけた」
やっぱり! 絶対に魔法だと思った。
「だから、君はナースだから仕事をしないとね」
「あの、何をしたら?」
「そうだな……そうだ! 俺をミイラ男にしてくれ」
「え!」
海里さんが、どこからか大量の包帯を出してきた。
「これでグルグル巻きにしておくれ」
「でも……上手に巻けるでしょうか」
「柊一なら出来るよ」
ところがパジャマの上に巻くのは難しく、四苦八苦してしまった。
「巻きにくい?」
「はい、すみません」
「いいんだよ。では、巻きやすいように裸になるよ」
「ええっ!」
海里さんの裸……抱かれる時はいつも見ているのに、なんだかこんな状況で見つめるのはドキドキしてしまう。
「ま、巻きますね」
「頼むよ。きっちり緩まないように巻いておくれ」
「は、はい……!」
僕は夢中で、海里先生の逞しい腕、胴体……足と、ぐるぐる巻きにした。
あ……だんだんコツが掴めて楽しくなってきた!
よし! この調子で隈なく巻いていこう。
妙な使命感に燃えてしまった。
だから……下腹部の……その、何故か雄々しくなっている海里さんの大切な部分にも手をかけて丁寧にぐるぐるぐるぐる……
「おいおい、柊一、そこに巻いてしまっていいのかい? 使えなくなってしまうよ」
「あっ!」
僕は真っ赤になって包帯を落とした。
包帯が、床にコロコロと転がっていった。
それが合図だった。
形勢逆転で、僕はミイラ男に襲われるナースになってしまった。
「あ……あっ、恥ずかしいです」
スカートのまま抱かれるのは、猛烈に恥ずかしい。
身を捩っているうちに、海里さんの身体の包帯が少しずつ緩んで、雄々しい身体が見え隠れしてきた。
ちらりと見える肌色にドキドキして……どうにかなりそうだ。
「か、海里さん……僕は……こんなに羽目を外したことないんです」
「俺もだよ。ミイラ男姿で君を抱くなんて」
白い包帯は僕たちが燃え上がる度に解け、僕と海里さんの身体をリボンのように包み込んでいく。
「海里さん、僕たち……祝福されているようですね」
「可愛いことを……ナース服の君もいいが、全て脱がして生まれたままの姿にしても?」
「は……はい」
僕と海里さんは一糸まとわぬ姿となっていた。
大好きな人と重なる喜び、過ごせる喜び。
愛は満ちて、満ちて――
僕たちは今宵も一つになる。
あとがき
****
季節外れですみません。転載なので時期がずれてしまいます。
ハロウィンの『海里&柊一』の様子がいかがでしたか。
この時代には仮装パーティーは日本ではなかったでしょうが、無礼講で💕
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