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第3話
「今日の授業は、何だった?」
この年上のお兄さんに、色んな事を教えてもらうのが圭は好きだった。
難しい事を、秘密めかして教えてくれる隼が、大好きだった。
「体の事を、色々とな」
じゃあ、と圭は手を打った。
「教えて、体の事」
頬を染め、目を輝かせる圭。
あぁ、なんて可愛いんだろう。
柔らかな髪が、風に揺れる。白い指先が、手に触れる。
顔に血が上ってゆくのが、自分でも解かる。
「じゃあ、さ」
「ん」
「お医者さんごっこ、しようぜ」
うん! と圭は嬉しそうに跳ねた。
ちょっと見るだけだ、ちょっと触るだけだ、と隼は自分に言い聞かせていた。
いくら可愛くても、こいつは男なんだし、ただのガキだ。
俺はオトナなんだから、のぼせ上がったりしねえ。
そんな斜に構えた心を見失わないよう気をつけて、圭の手を引いて町外れの廃屋へ連れて行った。
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