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第4話

 医院だったその建物は、取り壊しが予定されていた。  新しい病院が設けられ、主な備品は全てそちらの方へと移されていたが、古びたデスクと椅子が診察室跡にはそのままにしてあった。  椅子に腰掛け、隼は澄ました声で圭を呼んだ。 「次の方、どうぞ」 「はい」  隼の前にある丸椅子にちょこんと座り、圭はわくわくした眼差しだ。 「どうしました」  圭は考えた後、お腹を押さえて細い声を出した。 「お腹が、痛いんです」 「それはそれは」  ここで、本物の医者なら聴診器を当ててくる。  しかしそんなものはないので、隼はエア聴診器を掲げてみせた。 「お腹を出して」 「はい」

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