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第14話
今日はどうしました、という隼に、圭は風邪をひいてしまったのです、と答えた。
昨日はお腹が痛いと言って、何だか変な気持ちになる治療を受けたのだ。
風邪ならそうはなるまいと、圭は踏んでいた。
しかし、風邪と聞いて隼は内心ほくそえんでいた。
「風邪なら、喉を診ます」
「はい」
あ~ん、と大きく口を開ける圭。
その喉を覗き込み、隼は難しい顔をした。
「ずいぶん喉が腫れています」
圭は、恐ろしくなった。
遊びだが、重篤な診断を受けると不安になってくる。
「大丈夫、喉を消毒すれば治ります」
「本当ですか」
よかった、と圭は胸を撫で下ろした。すっかり本物の患者になってしまったような気分なのだ。
「薬を塗りますよ」
隼の顔が、どんどん近づいてくる。
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