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第27話
「どうだ? 具合は」
おかげで随分いいみたい、と圭は半身を起こした。
「夢を見ていたよ」
熱のあるときに見る夢なんて、ろくなものはない。
隼は肩をすくめた。
「どんな悪夢を?」
ふふっ、と笑って圭はいたずらっぽい眼をくるりと動かした。
「インチキ医者に、太い注射をされる夢」
隼は、大げさに首を振って見せた。
「そんな夢、早く忘れちまえ」
「忘れられないよ。だって、初めてだったんだから」
「うッ……」
風邪をひいて寝込むと、圭はよくあのときの話を蒸し返す。
何も知らない無垢な子どもを言葉巧みに丸め込んで、純潔を奪った隼『先生』の話を。
「くだらねえ事は、忘れろよ」
「くだらない? 僕の初体験を、くだらない事とか言う?」
「あ~……」
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