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第19 ズレ始めた二人 3

御饌は本来なら女性だった。そのため、御饌の方から誘われるとは思っていなかったのかもしれない。 何も反応を返さないギガイへ気まずい想いを抱きながら、レフラは言い訳のように言葉を重ねた。 「一日でも早く子を成すためにも、このまま抱かれてはいかがですか?」 ギガイ自身のモノにはまだ兆した様子はないけれど、お誂え向きにここは寝台で、互いに一糸纏わぬ状態なのだ。 子を成す事が自分の存在理由なのだから、レフラにはこの状況を利用しない手はない。 「…私のモノは未通の者には辛いはずだ。今日は疲れているだろうから、もう休め」 淡々と告げるギガイの姿から、その言葉の意図は見えてこない。だが、今のレフラにとっては心の内を抉るような言葉でしかない。 「……未通?」 ギガイの言葉に表情が歪む。思わず何を言っているのかと、低い声で聞き返した。 「……まさか、未通じゃないのか?」 何が『まさか』だと言うのだろうか。 嫁いだ時。その時まではこの身体は間違いなく未通だった。だが、その何も受け入れた事の無かった後孔やその奥の胎までも、禍々しいモノで無残に開いたのは誰なのか。 「どうなんだ」 それなのに、途端に険しい雰囲気を纏うギガイにレフラの心の内が冷えていく。 「先ほどの検診にて、さんざん花の根に開かれておりますため、未通である事を心配して頂く必要はないと思います」 おかげで解され広げられた後孔は、程良く濡れて緩んでいる。 まだ柔らかい状態でもそれなりの太さを持つギガイのソレを、苦痛無く納めきれるとは思わない。だけど、今のレフラの身体は納めるには都合が良いはずだ。 「……では、お前の後ろを開いたのは、イグリアの種だけだったという事だな」 それも確認したはずだ。 あれだけ屈辱的な方法で人の身体を調べておきながら、さらにこうやって不貞の疑惑を言葉でも向けてくるのか。 (それほどまでに、この身や孕み族と言われる跳び族を侮りたいという事でしょうか) ギガイのその言葉や態度に煮え立つような怒りではなく、ひどく冷たい別な感情がレフラの内を満たしていった。 「私は御饌でございます。しかも覇者として名高いギガイ様へ嫁ぐ者でございます。私が望んだとして、そんな者へ手を出す愚か者など、そうそう居るわけがございません」 何を言っているのか、と言い放つレフラの口元には冷笑が浮かんでいた。 それを愕然とした想いで見つめるギガイに気付く余裕は、残念ながら今のレフラには残っていなかった。

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