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第53 丸薬の一夜 3

「身体の痛みはどうだ」 一瞬何の事か分からなかったレフラの身体にギガイの指が這わされる。身体は今のキスですでに熱を持ち始めていた。そんな疼きを知っているのか、いないのか。ギガイの指がレフラの下腹部の際どい場所を何度か彷徨うように撫でていく。この二週間、一度も色を含まない手だった。それなのに、そんな事などなかったかのように、与えられた愛撫でレフラの身体がフルッと揺れた。 子を成す為に嫁いでいる。朝だろうと、真夜中だろうと、求められれば応えはする。だが、あまりに前触れがない状態での突然の刺激だったのだ。驚いたレフラの頬が紅く染まった。 ちょうど思い悩んでいたタイミングだった。触れて欲しいとレフラからも望むはずだった。そうとは言っても、もともとレフラはこの手の事には免疫がない。挨拶代わりに与えられる濃厚なキスにようやく慣れてきたばかりの状態な上に、労られた場所も場所なのだ。突然そんな事を聞かれて、何と応えるべきなのか。上手く言葉を返せない内に、ギガイの指がレフラの顎先を掬い上げた。 重なり合った瞳の奥。この主の中で最も感情を感じる虹彩は、すでに深い琥珀色に変わっていた。二週間ぶりに目の当たりにしたその眼光が、レフラの心をザワつかせる。 「素直に告げないならば、次から身体の考慮はいらないという事で良いか?」 瞬時に変わるギガイの雰囲気にレフラの喉がヒクリと動いた。この主の冷たさを増す声音や雰囲気が怖かった。痛みでも、拘束でもないたったそれだけのギガイの変化が、あの日に刷り込まされたレフラの怯えを引き戻す。 さんざん快感から苦しみまで、この雰囲気を纏うギガイに、レフラは身体へ教え込まれたのだ。緊張に口腔内が渇いていく。 「も、問題、ないです」 気付いているはずのレフラの怯えへは一切触れず「そうか」とギガイが口角を上げた。 何を考えているのだろう。ギガイの笑みが良くないものに見えて、レフラの不安が高まってしまう。 (交わる時以外はあんなに優しいのにどうして…) この扱いの中にギガイが言っていた、良い御饌のヒントがあるのだろうか。戸惑うレフラに構わずに背中を辿るギガイの掌がまっすぐにレフラの臀部へと降りていく。明確な意図が伝わるその手の動きに緊張は高まる一方だった。 「お前のここは私のモノを入れるには固すぎる。このままでは、お前がまともに私を受け入れる事はできないだろう」 服の上から奥の窄みをサワリと撫でられる。だが今はそんな刺激よりも。自分でも思っていた状況をギガイの口からハッキリと告げられて、レフラは身体中の血の気が引いていくようだった。 (それは御饌として失格という事でしょうか?) やはりこの二週間は試されていたのかもしれない。 動き出すのが遅かったのか。すでにギガイの中では決まってしまった事なのか。レフラが縋るようにギガイの胸元を握りしめた。

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