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第120 静寂の宮 9 ※

薬を使われた訳でもないのに、こんな風に快感を求めて泣く日が来るなんて思ってもいなかった。快感を覚えた途端に転げ落ちていく身体の淫らさが恥ずかしくて悲しくなる。 「ごめんなさい、あきれないで、こんな淫ら、で、ごめんな、さい…きらわ、ないでください…ッあぁ……」 「お前が私の愛撫に素直に感じて、嫌ったりする訳がないだろう。このまま感じていろ」 レフラの言葉にフッと笑ったギガイの目は蜂蜜色に蕩けていて、こんな淫らさも愛おしいと言っているようで胸の奥が熱くなる。それだけで、悲しみはスッと溶け出して、ますます上がる感度にレフラは思わずしがみついた。 抱き返されてキスが何度も落とされる。一見すると愛しむような柔らかな愛撫がその為だけじゃない事は分かっていた。もどかしいぐらいに優しい感触はハッキリとした快感からはひどく遠い。もうこれ以上じらさないで欲しいとレフラは涙で潤んだ目で見上げた。 「どうした?」 分かっているはずなのに、一向に触ってくれないギガイは始めの言葉通り意地悪だ。レフラの顔がクシャッと崩れ、涙がまたポロリと溢れていく。耐えきれずに押し当てた下半身さえも、与えられた刺激はせいぜい服の上から指先だけで扱く程度でもうこれ以上は辛かった。 「いや、です…ぁぁ、さわって、ください…服ごしじゃ、つらいです…ぁ…」 下着の中はもうしとどに濡れているのだ。決定打になるような刺激が早く欲しかった。それなのに焦らされるだけ焦らされて、少しも満たして貰えない身体の疼きが切なくて、思わず自分の半身へ手を伸ばしてしまう。 「あぁぁ!!」 茎を弄っていたギガイの指がレフラのその腕を捕らえた瞬間、反対の手がレフラの胸の突起を摘まみ上げた。触る事も許されず、放置された茎はますますズキズキとした痛みと滴を零していく。 「勝手に触るなと教えなかったか?」 「ご、ごめんなさい」 言いつけを破ってしまった事を指摘され、レフラの身体がビクッと竦んだ。 「まぁ良い。それだけ限界だったという事だろう」 優しげな言葉に反して剣を握り続けて硬くなっているギガイの掌が、上着の裾から潜り込む。ビクビクと震える素肌をなぞる指が迷う事無く這い上がり、たった今の刺激に芯を持った乳首を指先で摘まんで擦り合わした。 「やだっ、ごめん、なさい、やあぁぁッッ!!」 「怒ってはいない、謝る必要はない」 「じゃ、あ、どうして……っあぁ」 「直接触って欲しいのだろう?」 「ちがいっ、ます…やぁ、そこじゃないです…あぁッ!!」 「ここもちゃんと触れば気持ち良くなる場所だ」 気持ち良くなると言ったその瞬間、摘まみ上げる指先にギュッと力が籠もっていった。堪えきれないぐらいの痛みじゃない。むしろ痛いはずなのに、痛みの中に明らかに混じる快楽が理解できなくてイヤイヤとレフラは大きく首を振った。 「あぁ、あっ、ギガイさま、やぁっ、やですッ…」 痛みに萎える事も気持ち良さに悶える事も出来ないような、ギリギリの境界線をずっと責められるような刺激だった。それでも徐々に強まっていく指先への不安に、レフラは服の下のうごめきを見ながらフルフルと首を振っていた。

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