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第122 静寂の宮 11 ※
「もっ、もう、イヤです…おねがい、です…ちゃんと、さわって、もうへんになっ、ちゃい、ます……ッ」
まだ胸だけしか触られていない。それなのに、こんなに身体はドロドロに溶かされて、頭の中はぐちゃぐちゃなのだっ。もうこれ以上はおかしく成ってしまう。
何度目かも分からない懇願だった。またこのまま流されるのかもしれない。そう思いながらも、レフラには繰り返すより術はなかった。
ぐすっぐすっ、と泣いているレフラの旋毛にギガイの唇が降ってくる。チュッチュッと繰り返される感触が心地よくてギガイの方を仰ぎ見れば、柔らかな唇がそっとレフラの唇を啄んだ。優しい感触に心にわずかな期待が湧いた。
「これだけだと、後ろが疼いてしかたないだろ?」
コクコクと頷いて、縋るように捕らえられたままの手でギガイの手を握り返す。身動きさえも出来ない中で縋れるのはこの主だけなのだから、ギガイの言葉に期待が籠もってしまうのは仕方がないはずだ。
「……はいっ…つら、いです…だから、もうっ、もう、うしろもさわっ、て…ください……」
それなのに柔らかな視線を向けたまま「もう少し我慢しろ」と首を振るギガイは、まだまだこの責めから解放する気はないようだった。
「やだっ!!いやっ!やっですっ…!なん、で……なんでっ……っ!」
「もっと求めてみろ。欲しくてそれ以外に考えきれなくなった時に入れてやろう」
まるで睦言のように、優しい声音で紡がれた言葉だった。そのあまりの内容に、身体がブルッと大きく震えた。
「ひっぁ、あぁぁぁーーっ!!」
それなのに意地悪にも服の上から後孔をグリッと一瞬刺激されて、レフラの身体が硬直した。たったこれだけの刺激なのに、期待した身体ははくはくと窄みを開閉させて奥から蜜をコポッと溢れ出す。
(まだ与えてくれる気なんかないはずなのに……)
「ひどいっ…です……」
そんなギガイに訴えるレフラは恨みがましい目でギガイの方を睨め付けた。黒族の長であるギガイを相手にレフラがそんな目を向けた所で意味なんか無いと分かっている。しかも涙で濡れた目ではますます迫力なんか無いだろう。
それでも精一杯の抵抗を見せたレフラに、少し呆れたような笑みをギガイは浮かべて見せた。
「前にも教えたはずだ。煽られた男にそういう目を向ければ逆効果だとな?」
その言葉に拗ねて視線を逸らしたレフラの頭を、ギガイの掌が撫でてくる。逆効果だと言っていたのに、言葉に反して向けられた笑みも掌も優しかった。
行為の辛さに怯えていた心が解け出して、キュッと心と身体が甘く疼いた。
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