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第142 最愛の温もり 1 ※

仕事へ戻ったギガイの帰りを待っている内に、眠りに落ちていたらしい。 いつの間に待っていたソファーの上から運ばれたのか、レフラは寝台の上で気が付いた。 「今日は疲れているだろ。もう眠れ」 ゆっくりと瞬きを繰り返すレフラの目蓋を、横に潜り込んだギガイの指先がそっとなぞる。そのまま寝かしつけようとしている仕草に、レフラはグズるように首を振った。 「だいじょうぶです、ねむくありません」 「そうは見えないぞ。意地を張るな」 今日はもう本当にする気はないのだろう。 ギガイの胸元に引き寄せる手は、ただ優しく触れてくるだけなのだ。その扱いに抗うように、レフラはムクッと身体を引き起こした。 「意地なんて、張ってません」 話している内に意識だってちゃんとしてきている。横たわったまま見上げてくるギガイの胸元に手を着いて、レフラはギガイの様子を窺った。 「ギガイ様はお疲れですか?」 「そういうわけじゃない」 「なら」 いつものように抱いて欲しい。そんな誘いを口にしようとしたレフラの唇をギガイの指先が押し止めた。 今まで一度もレフラの方から誘ったことなんてなかった。何度も『誘っているのか?』なんて聞かれたことはあったが、やっぱりからかっていただけなのだろう。 (御饌の方から誘うなど、はしたないと思われたんでしょうか・・・?) 防がれた言葉にレフラが不安になってくる。 「お前が良いなら抱くが、お前の方からとは珍しいな。どうした?」 だが向けられた目は柔らかでどこか心配げな眼差しだった。嫌悪を一切感じないその琥珀の瞳に安堵する。 どうしたのかはレフラ自身も分からない。ただ今日はどうしてもギガイに抱かれたかった。 抱かれればその分だけ終わりが近付いてしまうと分かっている。それなのに、ギガイの体温を身体中で感じたかった。 「…特別な理由は…ただギガイ様と触れあいたかっただけです」 「なら良いが…。ゆっくりやるが、辛かったらちゃんと言え」 「いつも通りでかまいません」 「…私がそうしたいだけだ」 伸びてきた腕に身体を引き寄せられて、ギガイに覆い被さるようにキスをする。いつものように頭部に添えられた掌がないのは、レフラのペースで行為を進めるためなのだろう。呼吸から奪われていくいつものキスとは違っていた。 口腔内の弱い箇所を刺激されて、耐えきれずに離れてしまうレフラは何度も浅い口づけを繰り返していた。ただその間もギガイの両掌は脇腹から足の付け根と、指を何度も這わせてくる。 やわい肌を触られるたび肌の下に粟立つようなゾクゾクとした刺激を感じてしまう。それはジンワリと、でも疼くような熱を身体の奥に灯していた。 「ギガイ様…」 もどかしいような刺激にレフラが身体をくねらせる。特に意地悪をして焦らしていたわけではないのだろう。 レフラの訴えるような声に「ん?」とギガイが視線を向けた。 「足りないか?」 そんな言葉と共にレフラの後孔の縁を、ギガイの指先がトントンとノックするように触れてくる。 「あっ、ぁ」 たったそれだけの刺激だった。 それなのにレフラの口から漏れた声はすでに甘さを含んでいた。わずかにめり込む指先の感触もまたいっそう奥を疼かせた。

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