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第144 最愛の温もり 3 ※

「少し広げるぞ」 中で指を開かれたのか、言葉と共に圧が増える。まだろくに広がっていない隘路(あいろ)を内側から押し広げられていく。 「あぁぁ、くるっ、し…ぁぁ…」 レフラの口から、思わず弱音がこぼれ出た。 加えて広げようとする指が柔壁へめり込んで、粘膜と絡まり合うような状態だった。 そのまま前後に出し入れをされれば、ヌチャヌチャと濡れた音が耳に届いていく。 「止めたくなったらそう言え。今日はそこで終わってやる」 尻臀を掴む手が増えた圧に震えていた。 手の甲に与えられたなだめるようなキスも、気遣う言葉も。いつもと違う様子のレフラを思ってのことだと分かっている。 日中にボロボロと泣くだけのレフラへ何も言わず、ただ抱き締めてくれていた主なのだ。 『聞かないで』 レフラの懇願に合わせて、今も聞きたい言葉を飲み込んでくれているはずだ。 だけど。 ただただ優しく触れてくるその様子から、レフラを癒す為に触れてくれているのだと痛感すればするほど、そんなギガイの優しさがレフラへは逆に辛かった。 欲しいのは優しさで与えられるような熱じゃない。 今はただ。いつものように激しく求めて欲しかった。その中で、ギガイから感じる熱をレフラは感じていたいのだ。 「イヤですっ!やめる、なんてっ、いわないで!いつもっ、どおりにして…ください……いじわるで、いいですっ…いつもどおり、がいい…」 必死に求めた声は悲壮ささえ感じさせて、こんな自分が情けない。そう思いながらも、こんな自分にただ応じてくれているような状況はイヤなのだ。 「…お前は…」 聞こえてきたのは盛大な溜息と、どこか苦々しい声だった。優しさを無下にするレフラにいい加減嫌気がさしてしまったのか。そんな不安が一瞬頭を過った時、レフラの中から指が抜かれてギガイの方へ向かされた。 「煽るなと言っているだろ。またさんざん泣かされるハメになるぞ」 日頃なら竦んでしまいそうな言葉だった。だけど抑えきれない情欲が滲み出たような眼差しにレフラは思わずホッとする。 今でも平気なわけじゃない。与えられる行為への不安に、心臓はバクバクと鳴っていた。 「…泣いたり、しません…だから、いつものように…抱いて下さい…」 「…分かった。堪えろと言ったわけではない。泣きたいのなら泣けば良い。ただ『お前が望んだことだ』分かるな?」 『泣いて良い』 それは泣いた所で、何も変わらないということなのだろう。この後は泣いて懇願をしたとしても『望んだことだ』という一言で流されてしまうのかもしれない。 レフラの様子を窺いながら告げられた言葉は、最後に与えてくれる警告だと分かっている。 頷いてしまえばもう戻れない。 「…は、い……」 それでも良いと思えるぐらい、ギガイが欲しくてたまらなかった。 「…頑張ります、だからいつものように抱いて下さい…」 ギガイへ伸ばした手を引き寄せられ、唇が荒々しく塞がれた。後頭部に添えた手はいつものように逃れることを許さなかった。

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