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第146 最愛の温もり 5 ※

「レフラ、ほらしっかり前を向いていろ」 腕の中で脱力しかけた身体を、呼び掛けながらギガイの腕が抱え直す。声に意識を取り戻したのか、徐々に焦点が結ばれるレフラの眼が、のろのろと鏡の方を見つめ直した。 「…ぎがい、さま…っ、もう、ぁっ、もう、いか、せて…いか、せて……っぁ」 「ダメだと言っただろ」 「そん、な…もう、だめ…もう、いしきを、たもて、ない…だめっ、もう、おち、ちゃう…」 鏡越しに重なった縋る眼が、ますます涙で煌めいている。だが怯えを含みながら快楽に蕩けた瞳では、憐憫さよりも嗜虐心が煽られるのだ。ギガイは思わず苦笑した。 (これで煽っている意識が全くないのだからな) しかも立ち上がるレフラの香も酩酊しそうなぐらい甘いのだ。ギガイは暴走して貪り尽くすことがないように、気概を保つ必要があるぐらいだった。 「かまわん。今日は落ちた所で解放してやる。それまで精一杯頑張っていろ」 「そん、な…ぁぁ…」 「だからさんざん忠告してやっただろう。『お前が望んだことだ』このまま頑張れ」 言葉のままに持ち上げられたレフラの後孔から、ギガイの物が抜けていく。ズルズルと内壁を擦られる感触が堪らないのだろう。短い喘ぎがひっきりなしにレフラの唇から漏れていた。 「だが、もしどうしても耐えきれないなら、早々に終われるようにしてやるが、どっちがいい?」 抜いた分だけ戻されるギガイの屹立が、膨らんだ痼りを抉っていく。その感触にレフラはビクッと強ばった。それだけで余韻のような快感が身体に残り続けてしまったのか、ブルブルとした震えは止む様子がなかった。 「あぁ、ここも気持ち良い場所だからな。このまま何度も弄ってやろう」 すでに強い快感に苛まれている様子のレフラの身体をもう一度引き上げる。通過したはずのギガイの亀頭を引き戻して、グリグリと捻込むように揉み込んでいく。 「ほら、さっさと決めないとこのまま嬲られるぞ」 どうにか答えきれるように動きを少し弱めると、レフラが頭をグリグリとギガイの胸に擦り付けた。 「おね、がいです…もう、おわら、せて…ずっと、はだめっ、ずっとは、むり…です…」 「それなら今日はここに入れてやる。頑張って耐えろ。できるか?」 「…は、い…」 スルリとなぞった掌がどこのことをさしているのか。それだけでレフラもすぐに分かったのだろう。レフラの瞳にますます怯えの色が深まっていく。 それでもキュッキュッと痙攣するように蠢くレフラの身体は、与えられる快感をまるで歓喜しているようにも感じられた。 世継ぎのことを考えれば、いつものように胎へ注ぐのが良いのだろう。だが、このまま子を成してしまって問題がないのか。今の日常に変化をもたらす事へ警戒染みた躊躇いが湧き上がってきた1日だった。 (初めの頃は、子を成して自由を得たい、と言っていたぐらいだからな) そんな過去のことを思い出し、ギガイが射し込む場所を亀頭で叩く。 ずっと何かに捕らわれて泣くレフラの姿。 嫁いでから変わることができないレフラを、新しい変化の中に置くことが危険だとギガイの直感が言っていた。 「やっ、やぁあ、そこ、そこをぎがい、さまので…たたかない、で…ぁぁっ」 「大丈夫だ。このまま少し息め」 ここを今まで責めたのは仕置きの時だけだったせいか、レフラの怯えが強まっていく。そんなレフラを慰めるように、ギガイが優しいキスを何度も落としていった。 「ほら、このまま息んでみろ。お前の奥まで私の物を受け入れてくれ」 捻込むのではない。あくまでもレフラが求めて受け入れて欲しいと、ギガイが優しく囁いた。 その瞬間、レフラの薄い腹がひくりと震え、身体の奥でギガイの亀頭を飲み込んだ。

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