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第149 揺れる足元 2 ※

「どうした、くすぐったいだけじゃなかったのか?」 ギガイの身体がレフラに覆い被さるようにかがみ込み、下半身へ手を伸ばす。目の前の書架とギガイの身体に挟まれて、レフラは身じろぐ事もできなかった。 そのまま触れたギガイの指が、服の上から固くなった茎の形をなぞっている。それだけでますます固さをまして、指の愛撫に応じるように震えてしまう茎がいたたまれなかった。 それに悪戯のような愛撫が本格的な責め苦に変わるかもしれない状況なのだ。このまま抱かれてしまう可能性は、レフラをかなり緊張させていた。 「待って下さい、ギガイ様、お願いします。手を離して……」 抱かれる事がイヤなわけじゃない。 (でも今までのように2人きりじゃないんです……いつ誰かが来てもおかしくないのに……) 万が一の事を思えば、ここで抱かれることをどうしても躊躇ってしまうのだ。 レフラが泣いた次の日から、ギガイの執務の半分はこの宮の中で行われていた。ギガイが中の間の執務室へ戻る場合には用聞きの3人のうち2人はそばに付くようになっている。 この書庫は宮の内にいる者なら誰でも立ち入れる場所なのだ。そんな場所で行為に及ぶのは、(おおやけ)の場所で致しているようでレフラの羞恥を駆り立てる。 レフラは悪戯に茎を爪先で上下になぞり続けているギガイの指へ手を伸ばした。 「あっぁぁ、ギガイ様、お願いで、す…後でに…して……」 「後でか…だが、くすぐったいだけ、と言いながらこんなに固くしているからな」 「そん、な…本当、なんです…本当に、やっ、やめてッ…!」 レフラの訴えに重なるように、ギガイの指先がついにレフラの茎を捕らえて上下に緩く扱き始める。 「あっ、あぁ、っ、ギガイ様、ダメです…ッ!こんなところでは…!!」 一気に高まる快楽に脚から力が抜けていく。目の前の棚に縋り付いて、レフラは身体を苛む快感を身体を震わせながら堪えていた。 羞恥でどうにかなりそうだった。 扉をしっかりと閉めているのだ、聞こえるはずがない。そう思いながらも大きな声では抵抗することができなかった。 「なぜだ?部屋でやるのと何もかわらんだろう?」 「かわります!!」 「それなら部屋でするか?だがあと少しであの3人の内、誰かが来る時刻だと思うが?」 人の来る予定があるプライベートな部屋と、人が来るかもしれない公の場所ならば、どちらがいったいマシなのだろう。 「…よ、夜にお願いーーー」 「却下だ。この後はしばらくは上へ戻るからな。戻る前にお前に触れるのを、なぜ他の者に遠慮して私が我慢しなければならない?」 どことなくムスッとした声でギガイがレフラを抱え直す。 「お前は私だけの御饌だ。本当なら、お前の目に私以外が映るのも、お前のそばに私以外の者がいるのも腹立たしい」 「……それでしたら、以前のように1人でここで待っております」 「だがお前を独りにしたくはない。それに今の方が楽しいのだろ? 私は結局はお前が笑っている方が良いからな」 レフラにはギガイの言葉の真意が分からなかった。 甘い期待をしないように心を戒めながらも、まるで恋人への睦言のような言葉にレフラの心がツキッと痛みを訴えていた。 どうしてこんな言葉をくれるのか。 いつまで与えてもらえる言葉なのか。 考えれば泣きたくなってしまうから、レフラはあの日から考えることを止めてしまった。 「我慢はそれなりにしていると思うが。お前はそれでもダメだと言うのか?」 向かい合うように抱え直されて、ギガイが覗き込むように見つめてくる。そう言って真っ直ぐに向けられたギガイの目が、まるで「待て」と言われた大型の獣のようで、レフラは思わず笑ってしまった。

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