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第164 揺れる足元 17 ※

ろくに解されることなく捻じ込まれた後孔は縁が熱をもって腫れているようだった。 「あぁ…いぁ…っ、いたぁ…あぁぁ…っふぁ…っ」 亀頭の返しに引っかけるような出し入れは、肉の縁がめくられて引き攣るような痛みを絶え間なく訴える。だけど同時に慣れた身体は、そんな中でも上手く快感を拾い上げていた。 日頃空気さえ触れない敏感な粘膜をギガイの指がするりと撫でた。 「っひ、あぁぁぁぁ!!…あぁ、あぁぁ、っ!!」 先にさんざん吐き出されたギガイの精液なのか、それとも溢れだしたレフラの淫蜜なのか。分からないぬめりで滑る縁は喉を割くような快感と熱を伝えてくる。 薬を塗られて包帯を巻かれた掌がどこにも縋ることができないように、レフラの両手首は余った包帯で結ばれて天蓋の方へと繋がれていた。 膝立ちを強いられた脚は日中の疲れも重なって、すでに限界を訴えている。だけど本気で崩れ落ちそうになる都度に身体を支えるギガイの手は、レフラの手首へ過剰な負荷がかかることを防いでいた。それは同時にギガイの手によって強制的に姿勢を保たせられる状況でもあったのだから、どちらがレフラにとっては良かったのかは分からない。 そんな姿勢で嬲られ始めていったいどれぐらいの時間が経ったのか。 「ーーーーひっ、あぁっ!!」 腫れた痼りを抉られながら最奥の窄みにギガイの熱い亀頭が捻じ込まれ、落ちかけた意識を引き戻された。 そのあまりの衝撃にレフラの瞳が再び見開かれて、その亀頭をギュッと強く締め付ける。その締まりに覚醒を確認したのだろう。何度か腰を回すように内部を刺激したギガイのソレはあっけなく中から引き抜かれた。 「ひぃぁっ、ぁっ!!」 その刺激にレフラの身体が再び大きく跳ね上がる。最奥の窄みを出し入れされる刺激は他の場所とは全然違う全身を貫くような快楽が襲うのだ。 その暴力的な快感は、一晩で何度も経験するには辛すぎて見開かれたレフラの目から再び涙がパッと散った。 泣きすぎた眦もヒリヒリとした痛みを訴えている。 こんなに辛いのに、それでも快感に蠢く内壁は緩く出し入れしているギガイのモノを強請るように疼いてくる。 再びギガイの屹立したモノがレフラの痼りをグリッと抉った。さんざん嗚咽と嬌声を上げ続けた喉は限界を迎えているせいで、上がる声は掠れていた。 「ぁ…っぁぁ、…ぁつ……」 レフラの立ち上がっていた茎からまたトプッと液が吐き出される。何度も吐き出したその場所はすでにみっともないほどグチャグチャに濡れていた。 何度目になるのかも分からない絶頂は、今では勢いなく淫液を零すぐらいがせいぜいだった。 それだけずっと抱かれていた。でも声さえも掛けてもらえずに、ずっと後ろから貫かれている状況は、縋れる温もりもなければ、ずっとギガイの顔さえも見えていない。 今も向けられた眼光は紅く染まった状態なのか。この後も冷たささえも感じられない声で、名前を呼ばれてしまうのか。分からないまま堪えていた。 落ちきれない意識の中で、蜂蜜色の眼差しを縋るように思い浮かべれば、自然と声が漏れていた。 「…ギガ、イさま…ギガイ、さま………」 記憶の中の姿だけは、怖いも、止めても、ごめんなさいも、聞いてくれた優しいギガイの姿だった。蜂蜜色の眼光に焦がれてその名前を口にする。 甘えを許されていない現状で、優しかったギガイの名を呼ぶことだけがレフラのせめての支えだった。

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