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第12 優しい人達 2

「そう言えば彼はどうなったんですか?」 あの後にどんな処罰を受けたのか。レフラが心配げに3人の方を見回した。 レフラ相手だからと言って特別に罰を重くはしない、とギガイはちゃんと約束はしてくれた。だけど今回の処罰が元々どの程度のものだったのか、レフラには全く分からなくて不安になる。 「あー、一応無事ですよ?」 そんな中で聞こえてきた微妙なリランの言葉に、レフラの表情が固まった。 一応とは何なんだろう。それに今、なんだか疑問形になっていたような気がするのだ。 「えっ、もしかしてギガイ様が……」 あの後に何か酷いことをしてしまったのか、と血の気が全身から引いてくる。だけど緊張にコクッと生唾を飲み込んだレフラの前で。 「いや、違います! ギガイ様ではありません!」 慌てて否定する3人にレフラがホッと息を吐いた。 「よかった…私が気なんか失ってしまったから、ますますあの方に怒ってしまって、ギガイ様が処罰されてしまったのかと思いました」 だけど、レフラのその言葉に1番気まずそうな表情を浮かべたのは思ってもいない人物だった。 「…エルフィル様?」 リランやラクーシュの視線も合わせてそちらを向いていた。 「いや、でも一応ギガイ様の許可は取れていた状態だろ」 一瞬気まずそうな表情を向けながらもその直後には開き直ったのだろう。2人へエルフィルが「何が問題なんだ」と不満そうな顔を向けていた。 「そうだな、確かに“鍛え直せ”という指示だったな」 リランが呆れたようにそんなエルフィルの顔を見つめ返す。 「だけど、あれって“鍛え直す”とかいうレベルか?」 この3人の中ではどちらかと言えば無鉄砲な方だと言えるラクーシュでさえ、そう言うレベルのことなのだ。 「えっ、彼はどうなったんですか…?」 「いや、鍛え直すために手合わせをしてやっただけですよ」 それ以上のことは何もしていない、と言いながらもハハッと笑うエルフィルの視線はレフラの方を微妙に向いてはいなかった。 「気絶も許さない扱きは手合わせとはいわねーよ」 呆れたように言うラクーシュに、リランも全くだと眉を寄せる。 「いやいや、俺1人だけやり過ぎた感じで言っているけど、お前らだってあの時バッチリ殺意を向けてただろう」 それはあの武官から突然の威圧を向けられた時のことだろう。そう言えば、初めて見る3人の姿にとても驚いたことを思い出す。 「当たり前だろ、レフラ様に向かってあんな威圧を向けやがって」 「いや、待て! お前らと一緒にするな! 俺は殺意は持っていても、そんなお前ら2人を牽制しつつだったからな。お前らギガイ様の許可前に、殺しにかかろうとしていただろう」 ラクーシュとリランの言葉にもレフラは目眩がしてくるようだった。 「どうしてですか? あの武官の方がギガイ様の命令に背かれたからですか?」 横になったままレフラが手を伸ばす。ちょうどそばには、この中では1番理性派のリランが近い状態だった。 その服を引っ張ってレフラはリランへ途方に暮れた目を向けた。

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