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第60 目に映る唯一 1 ※
「ほら、どれを使いたい?」
これがギガイが言っていた道具なんだろう。
たくさんの見慣れない物を、目の前にバラバラと広げられる。大きい物から小さい物、つるんとした物やトゲを持った物など形やサイズも様々だった。
「えっ、えええ……??」
そのあまりの量にレフラは言葉も出なくなる。
しかもどれが良いかなんて聞かれても、どれも使いたいとは思わないのだから。返事もできずに困ってしまった。
「お前が選ばないのなら、私が選ぶぞ」
ずっと黙ったままギガイと道具を交互に見るだけのレフラに焦れたのかもしれない。ギガイがレフラの横にあった物に手を伸ばそうとする。
「そんな物は、ダ、ダメです!!」
何だってそんな物を選ぼうとするのだろう。
だってギガイが選ぼうとした物は、トゲがいっぱい付いた何に使うのかも分からない物なのだ。
半泣きになりながら、レフラがブンブンと首を振った。
「冗談だ。初めてのお前に、こんな物はいくらなんでも使わん」
そう言ったギガイが、またクツクツと笑った。
(って、ことは……その内に使う予定ってことですか……!)
その言葉にますます血の気が引きそうなレフラと違って、ギガイは楽しそうな雰囲気だった。
「それなら、これはどうだ?」
そんな中で次に見せられた物は、Tの形に近いつるんとした素材だった。この中ではまだまともに見えるその道具に、レフラは恐る恐る頷いた。
残りの道具を箱にざらざらと戻して、固まったままのレフラをギガイが手招きする。
「じゃあ、自分で後ろを慣らして、これを入れてみろ」
「……はい」
顔も身体も一気に熱くなる。自分で慣らす行為を見られるのは初めてではないけれど、何回やってもその度に恥ずかしくて緊張してしまう。
積まれたクッションにもたれて、ギガイへ向かって震える脚を開いていく。
「もう少し大きく開け」
もう全裸のレフラと違って、ギガイはまだローブを着込んだままだった。その格好のまま、鷹揚に反対側へ積まれたクッションにもたれている。ゆっくりと鑑賞でもするように、レフラの痴態を眺めているのだ。
その眼がレフラの恥ずかしさを、さらに煽っていた。
「は、い……」
呼吸がそれだけで震えていた。恥ずかしくて、恥ずかしくて。生理的な涙がジワッと浮かんでくる。
これ以上は開かない。そんなギリギリまでどうにか脚を開ききって、レフラは手元の香油の蓋を開けた。
官能的な香りが漂ってくる。少し固めのその香油を2本の指で掬い上げる。蜂蜜よりも粘度のある香油がトロリと指から滴り落ちた。
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