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第61 目に映る唯一 2 ※

クチュッーーー。 濡れた音を微かに立てながら、まだ慎ましやかに閉じたままの後孔の周りへ、香油を塗り広げていく。何度もギガイの屹立を咥え込んできた場所なのに、肉の縁はまだまだ固いままだった。窄みの中心に指の腹を当てて、香油を刷り込むようにしていきながら、レフラがゆっくりとそこへ指先を含ませていく。 「……んっ、……っ」 1度解け始めれば柔らかに解けるその場所も、始めの挿入だけはどうしても、異物感を感じてしまう。特にギガイによってトロトロに感じさせられた状態じゃない、いまのような時には、その感覚は強かった。 思わず詰まったような声が口から漏れる。その衝撃をやり過ごすように、レフラはいつの間にか堪えてしまっていた息を大きく吐き出した。 「視線をコッチに向けろ」 そんなレフラに向かって、ギガイの声が聞こえてくる。思わず伏せてしまった視線を咎める言葉に、怯えたように、ビクッと肩が大きく震えた。 日頃から上に立って命令する事に慣れた声だった。 レフラ相手に柔らかい声音になっている時でも、命令する時の威厳は保たれたままなのだ。 声に従って恐る恐るレフラが顔を上げていく。そのままギガイの方へ眼を向ければ、真っ直ぐな眼が向けられていた。強い眼光に射貫かれて、レフラはヒュッと喉を鳴らした。 (や、やだ……見られてる……) 興奮とはほど遠いギガイの視線に晒されながら、どんどん身体が熱くなっていく。1人だけ感じている姿が情けない。それなのに刺激に慣れた身体は、この先の快感を覚えていてクチュリと蜜を溢れさせながら強請っていた。 「っ、ぁぁ、ぁっ、ぁぁ……ぁっ」 蜜で滑りはずいぶん増している。前後に動かす指に合わせて、嬌声が口から漏れてしまう。 (声、出ちゃう……恥ずかしいのに……) 2人だけの宮の中は、いつだって静かな状態なのだ。 特に天蓋が下ろされた寝台の中は、雨の音さえ聞こえない。レフラが立てる水音と、開かれたままの口から出る、小さな嬌声。それだけが今は聞こえていた。 唇を噛んで、その声を閉じ込めてしまいたい。強い視線からも逃れる為に、せめて目を瞑ってしまいたい。 だけど抱かれる準備をする時に、ギガイからはそのどちらも禁止されているのだから。レフラは痴態を晒したまま、指を出し入れするしかない。 「ぅぅっ、ぁぅ、ぁっ、ぁぁ……ぁっ」 レフラの痴態を見つめる蜂蜜色の目に、もう少し熱があったのなら。まだ、良かったのに。 だけどレフラの一挙手一投足を見逃さないよう、理性的に観察するような眼には、情欲染みた熱はない。それなのに。そんなギガイを前にして、独りだけ喘いで、蜜を溢れさせている。 (……やっぱり、恥ずかしい……!) これ以上、独りだけで乱れる姿を、ギガイに晒したくなかった。 「っあ……あぁっ……」 少し動かすだけでも感じてキュッと粘膜はレフラの指を締め付ける。 「んっ……あっ……あぁっ……」 出し入れする指の刺激だけで喘ぎが漏れてしまう。そんな中、指先が弱い場所に触れてしまわないように、レフラはどうにか指を動かした。

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