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第65 目に映る唯一 6 ※

「私は動かしていない。お前が感じて後孔を締め付けることで、道具が揺れて、中の痼りを抉っているだけだ」 「う、そ……そんな、ちがう……ちがう、ん、です……」 ということは、道具の刺激に感じれば感じるほど、自分の淫らさを証明していることになる。 レフラはどうにか快感を堪えようと、身体を強張らせる。それでも自然と蠢く肉壁の収縮は、そんな意思だけでは、もうどうにもならなかった。 (やだ、ギガイ様に、淫乱だと思われちゃう……!) 中で道具が痼りを叩き続けている。刺激に内壁が戦慄いて、キュッと肉の縁が窄まった。まるで喜んでいるように、道具を舐る動きに顔も身体も熱くなる。 「……なん、で……やだ、っ! うごか、ないで……だめっ! ちが、うの……っ」 「何が違うんだ? とても気持ち良さそうだぞ」 胸に埋めたレフラの顔を、ギガイの指が持ち上げた。 「……ギガ、イ、さま……ギガイ、さ、ま……」 「そうやってずっと、私だけを見て、私だけを求めてろ」 柔らかな蜂蜜色の目が優しく細まる。それは同時に。そんな穏やかな目に、みっともなく崩れた自分の姿が映り込んでいる、ということだった。 「……ふっ、やだぁ、やだぁ……おねがい……です、みない、でぇ……みない、で、くだ……さい……!」 「なぜだ?」 「ギガイ、さまに……こん、な、すがた……みせたく……ない、です……っ!」 「こんな姿? 私が与えた快楽によがる姿のことか? それとも、ぐずぐずに泣きながら私へ縋る姿のことか?」 「やっ! いわな、いでッ! みっとも、ない……から……!」 いくらギガイに望まれた行為のせいだとしても、好きな相手なのだから。いつだって1番良い姿を見て欲しい。そう思っているのに。 「大丈夫だ、私が望んだ姿だ。お前は気にせず感じていろ」 意地悪をする、とギガイが決めてしまった時には、ダメだった。優しくレフラを見つめている時も、楽しげに笑っている時も。レフラがどんなに泣いていても、ギガイは淫靡に攻め立てる手を緩めてはくれない。 「あっ、やあっ、や……っ!」 痼りがグニグニと、休むことなく押し込まれる。どうすれば動きを止めることができるのか。 目の前がチカチカするぐらいの快感に、締め付ける力はどんどん強くなっていた。始めはトントンと刺激していた道具も、今ではまるで痼りを抉るように動いている。 「あぁ、やだっ、いくっ! いっちゃう。いっちゃい、ます……!」 「もうイクのか。構わないが、大丈夫か?」 「なに……な、なにが……?」 もしかしたら、なかなかイク許可を貰えないかもしれない。そんな風に思っていた。だけど呆気なく出してくれた許可。そのことを喜ぶには、続けて聞こえた言葉は不穏だった。

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