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第102 共鳴の鈴 2 ※
「っ……ぅっ……」
寝室の扉を開けば、微かに湿り気を帯びた声がした。レフラの待つ寝台へ真っ直ぐに向かって、クッションに埋められていた顔をこちらへ向かせる。
「ギガイ、さま……」
無理やり合わせた視線だが、ギガイの姿を確認して、ホッとした様子が見て取れた。
過ぎた羞恥のせいだろう。覗き込んだレフラの両目に薄らと張っていた涙が、瞬いた弾みにポロッと零れ落ちていく。それでも名前を呼ぶ時の、レフラのどこか安心したような声音に、ギガイは内心で苦笑した。
(これから仕置きだと、分かっているはずなのにな)
現に、レフラの身体は緊張で固くなっている。それなのに、こうやってギガイへ心を寄せてくる姿が、あまりに健気でいじらしくて、ギガイも毒気が抜かれてしまう。
「1回、出させてやる。大人しくしていろ」
唇へ軽いリップ音を立ててキスをして、ギガイがレフラの前に身体を屈めた。
始めに言いつけた通り、下半身を脱いで晒していたレフラの茎は、わずかに兆している。
行為に慣れた身体は、どうしても期待してしまうのだろう。恥ずかしさと、この先の行為に慄く気持ちに反して反応する身体は、ますますレフラの感情を追い詰めている様子だった。
「待って、ギガイ様、汚いですっ! 汗をかいたから、待って下さい!」
慌てて押しのけようとするレフラの抵抗を意に介さず、大きく開かれたレフラの脚の間にギガイが顔を埋めてしまう。
「だめっ! ダメです、汚いから、きたな、いからぁっ!!」
どうにか退けようと、頑張っているようだった。レフラの細い指がギガイの髪の中に潜り込み、グイグイッと頭を押していた。
だけど跳び族で、なおかつ快感に翻弄され始めたレフラの力なのだ。ギガイにとっては、何の抵抗にもなっていない。
「咥えちゃ、だめぇぇぇ!!」
ギガイが温かい口腔内に含んで、緩やかに立ち上がり始めていた茎の裏筋へ、舌をゆっくりと這わしていく。そのまま唇で何度か扱けば、レフラの茎はそれだけで固く張り詰めていった。
「あぁっ!! やぁっ……ぁぁっ!!」
どこを触れば、感じきるのか。レフラの身体を知り尽くして、閨で散々レフラを翻弄しているギガイだった。的確に刺激を与えて、あっという間に追い詰めていく。
「あぁ、やぁ……っあぁっ、ぁぁっ……」
蜜を溢れさせる先端は、取り分けレフラが敏感に反応する場所だった。いつもなら反応を楽しむように、強弱を付けつつ弄うソコに、今日は焦らすことなく舌先をグイッと捻込むように愛撫する。
「あぁっ、やっ!!……やぁああっ!!!……っ!!」
日頃、守られている粘膜を、直接熱い舌で弄られるのは、やっぱり強い快感なのだろう。掌を添えたレフラの太股が、その下でビクッ、ビクッと痙攣をしていた。
その太股を宥めるように掌で擦り、力なくクタリとなったレフラの茎をようやくギガイが解放する。
「気持ちよかったか?」
突然始まった愛撫に、アッという間にイカされたのだ。レフラの様子を見る限り、状況に置いて行かれているようだった。
呆然とギガイの方を見上げてくるレフラの眦を拭ってやる。その指をペロッと舐めれば、快感に浮かび上がっていた、レフラの涙の味がした。
「……これも、お仕置き、ですか……?」
お仕置きと思うには、だいぶ行為も雰囲気も緩いはずだ。だが、いつものように求められていると思うには、あまりに素っ気ないのだろう。
「いや、これは仕置きというよりは、仕置きを受けるお前への温情だな」
戸惑うレフラに、ギガイは首を振りながら、持ってきた物を掲げた。
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