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まだキスしかしてないのに、俺はすっかり息が上がっている。それに意識しないようにしていたけど、なんていうかですね、その。男の子の象徴部分がさっきから自己主張を初めているわけで。これだけくっついていると気づいてしまうのだろう。シュンは小さくくすっと笑った。
「うん。キスだけでこんなになってる」
す、と。至極さりげない仕草でシュンの細い手がそこに伸びる。そろりと撫で上げられて、ひ、と変な声が喉から出た。だ、大胆すぎるであります!
そわ、そわ、と細くて長い指が俺のそれを弄ぶ。やばい、やばいって、人に触られたことなんてないから、すぐに……。
「や、やめて、シュン。そんなされたら……」
「やめたくない」
きっぱりと言われて、愕然とした思いで真下にいるシュンを見下ろす。先ほどまでのぼんやりした表情はどこかにいってしまって、シュンはまっすぐに俺を見ていた。眼鏡なしで見るその瞳には、これまで見たことがないような色が宿っている。その、なんていうんですかね。ラノベでよく見る表現だけど、はじめて実物を拝見した。これが「欲に濡れた目」っていうやつか。そうなのか。
「周藤くんは俺がかわいいかわいいって言うけど、俺からすれば周藤くんのほうが、格好良くて可愛いし、もっといろんな周藤くんを見たい。だから……」
やめないで、と小さい声で言われて俺の理性のフタは、パァアアンと砕け散った。心の中でうおおおおおと叫びながら、シュンのシャツをたくしあげる。穢れを知らない真っ白な肌がまだ明るい昼間の陽光に眩しく照らされて……、というのを想像、いや、妄想していた俺は、目を点にした。確かにシュンの肌は白かった。荒れてもいなくてつるんと綺麗だ。華奢だとばかり思っていたけれど結構腹筋なんかはしっかりついていて、引き締まっている。うん、綺麗な体だ。
でもさ。
「あ、あああ~……忘れてた、ごめん……」
両手で顔を覆ってシュンががっくりとうなだれる。その左胸には青と黒のちょうちょがヒラヒラと舞っていた。
「若気の至りで……その……ごめん」
「だ、大丈夫。びっくりしただけ……」
気を取り直して。
刺激の強い柄にはちょっと距離を置いて、右の胸に顔を寄せる。あったかい。人肌ってあったかい。噛みつきたくなるほど綺麗なその肌に、俺は迷うことなく舌を這わせていた。
「あっ、いきなり、ちょっとおっ」
焦ったような声も可愛い、もっと聞きたい。男だからもちろん膨らみはないけど、女性なら谷間があるだろうあたりに窪みはある。そこを舌でなぞりあげ、脇腹を手のひらでさする。引き締まった肌はなぞっていて楽しい。触り甲斐がある。
「ん、んん……」
くすぐったいのかシュンは身を捩る。それを両手で押さえつけると、さっきから視界の隅に入って気になって仕方なかったそこ、つまり胸の飾りへ舌で触れる。
「ひ、ゃっ」
背がビクンとしなって高い声が頭上から聞こえてくる。かわいい、かわいい……。もう夢中になってその尖りをねぶった。舌の先端で円を描くようになぞったり、頂きを舌の腹で押しつぶしたり、その度にシュンの口からひ、とか、あ、とか声が漏れるのがえろくてたまらない。貧乳を通り越して無乳なのに全然飽きない、いつまでもいじめていたい。
「シュン……かわいい、かわいい……」
両手でシュンの肩を押さえて、舌と唇でその胸をもてあそび、そしてもはやパンパンに張りつめた己のそこは、シュンの下半身に押し付ける。自分の熱の向こうにシュンの昂りを感じる。こんなことをしているのだから当たり前だが、シュンのそれもすっかり硬くなっていた。
「ねえ、下脱がせていい? いいよね?」
胸から臍に向かって舌でつつつ、となぞってやれば、引き締まったお腹がピクピクと反応を示す。感じやすいなあ、かわいいなあ。
「ん、あ、恥ずか、し……」
シュンの可愛らしい主張は聞こえなかったことにして、ジーンズのチャックを下ろし、なかば強引に足から引っこ抜く。ほほう、シュンはボクサーパンツ派なんだね。黒の下着にくっきりとそれが形をなしている様は、穿いていないのよりもむしろいやらしい。着エロというやつだ。倒錯的な光景に目が釘付けになっていると、シュンが両腕で顔を覆って「みないで……」なんてダメ押しとしか思えないことを言ってくる。
「無理、全部見たい」
はあ、はあと息を荒くして下着をそっとめくっていくその様はどうしようもなく変態だ。でも変態でもいいや。シュンに対してなら何でもいい。
「あ、ぁ……」
足の付け根まで下着を下ろせば、すっかり硬くなって上を向いたそれが顔を出す。エロ同人やなんかだとシュンみたいなかわいい系の男の子のそれは、肌色で小さくてつるつるで子どもみたいに描かれることが多いのだけれど、シュンは生身の二十歳の男だ。俺と同じようにしっかりとした男のそれが、そこにはあった。そのギャップにむしろ興奮する。あんなかわいい顔のシュンの股に、こんな男らしいものが、と。
「なんか変なこと考えてるでしょ」
「へ?」
「そんな、かお、してる……」
交錯させた腕の隙間からちょっとだけ顔を出して、真赤な顔で睨みつけてくる。だから、そういう萌え仕草をするなと言っとろうに!
その顔を見ただけで俺の下半身がぎゅんっと一気に熱を持つ。もう下着の中でぱんぱんになっていて苦しい。俺も脱いでしまおう。上は面倒なのでズボンとパンツだけ、しかも片足だけ脱ぎ去る。ゆっくり脱衣している余裕はなかった。
「シュン、シュン……一緒に、これ、扱いていい?」
右手で自分のものを、左手でシュンのものをそっと握る。熱い、自分のもそうだがシュンのそれは一際熱く感じられる。ゆるく握ったり離したりしてやれば、シュンは顔を隠したままコクコクとうなずいた。
「じゃあ、失礼しまー……す」
上を向いたシュンのものと自分のものをぴたりとくっつけ合い、右手でまとめて握る。うわ、なんだこれ。未知の感覚。
「あ、ああっ……」
「ふ、う……」
そのまま右手でまとめて上下に擦り合わる。互いの張り出したところが擦れ合い、時に窪みを抉り、その形をいやらしく変えては高め合う。そこにわだかまる凄まじい熱量のどこまでが自分のもので、どこからがシュンのものかが分からない。ふたつの欲望がひとつに合わさってしまったような気がした。
「ねえ、シュン、どうすんの。こんなに、硬くして。どこまで、していいの」
「す、周藤くんの、したい、とこまでぇ」
なんてそんな可愛いこと言ってくれるから。
二人分の先走りで濡れそぼった右手を陰茎から離し、シュンのその付け根に沿わせてす、す、す、と後ろに進めていく。
「ひ、ぁ、そこ、は……」
お尻の割れ目をすーっとなぞれば、何をされるのか気づいたシュンが顔を覆っていた手を伸ばして隠そうとするが、遅い。ていうか止められてもやめないしね!
「ひ、ぅ……」
つぷ、と、人差し指の第一関節が内部に埋まる。うん、うん。温かい。柔らかい。興奮するとか何とかよりも、ああ、これがシュンの体内なんだなあって、実感する。当の本人はそれどころではないようだが。
「あ、ぁあ、ゆび、ゆびが中に……」
信じられない、というように目を見開いて、口をぱくぱくしている。好きなようにしていいって言ったのに。いやそんな言い方してないか? もういいや、頭がよく働かない。
ぐ、ぐ、と力を込めて、けれど傷つけないように注意を払いながら、指を奥へ潜り込ませていく。目の前にあるシュンの腹筋に連動して内部もひくひくと収縮する。えろい。
「は、あっ、ひぃぃ……」
食べられる直前の小動物みたいな、か細い声がシュンの喉から漏れる。本来そういう用途に使うのではないそこは狭く、指を拒絶するようにギュウギュウと締め付けてきたが、二人分の先走りのおかげで随分潤滑にほぐすことができた。
「ん、ぁあ、はぁ、う……」
さっきまで泣きそうだったシュンの声にも甘さが混じってくる。指を二本に増やしても、痛がったり苦しそうな素振りは見せなかった。もはやそこはとろとろに熟れている。
指は抜かないまま上体をずいっと乗り出し、シュンの耳元に口を寄せる。そろりと舌を這わせれば、そんなことでもビクビクと反応してくれるのが愛らしくてたまらない。
「ねえ、シュン、本当に俺、どこまでもしちゃうよ、いいの、ねえ」
ハァハァと息を荒くしながらこんなことを尋ねる俺はどこからどう見ても立派な変態です。だけどその変態にいいようにされて男根をパンパンに腫らし、大きな黒目に涙を溜めて、俺と同じくらい息をハァハァさせているシュンだって相当に変態だと思う。
「い、いいよ……俺も、周藤くんが、ほしい」
そんな台詞をリアルで言われる日が来るなんて思ってもみなかった。生きててよかった。生きててよかった……!
「ふ、あっ」
指をずちゅりと引き抜く。喪失感にはくはくと開閉する入り口が最高にいやらしい。
「や、優しくするね……」
シュンの中を解しているだけで、すっかり準備万端どころか若干フライング気味の我が分身をそこに宛がう。期待と緊張と不安と興奮と、色々なもので頭が沸騰しそうだ。シュンも同じような心境らしく、口を一文字に引き結んで両手は顔の横でシーツを固く握りしめているのに、目だけは隠し切れない興奮に濡れている。そんな目で見られたら、もうだめだ。
思い切って、先端を中に埋めた。
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