15 / 152
第一章・15
土を運んではキツイと愚痴り、肥料を与えては臭いと罵り、剪定した枝に足を取られては危ないとぼやいていた陽だったが、その顔つきはとても明るく生き生きとしていた。
「ね、衛先生。帰りにクレープ奢ってよ」
「帰宅時の買い食いは、校則違反だぞ」
「衛先生と一緒だから、いいんだもん。先生が食べろっていったから、仕方なく食べるんだも~ん」
「こんな時だけ、先生扱いか。困ったヤツだな」
二人でおやつをパクつきながら家路を歩く毎日が、日課となっていた。
楽しい日々が、続いていた。
こんな日々が、いつまでも続くと思っていた。
ともだちにシェアしよう!