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第二章・2

 式の後のホームルームが終わっても、誰もが名残惜しそうにその場から離れない。  友達と、先生と、いつまでも話を続けている。 「いつでも遊びに来い。待ってるぞ」  この学校を巣立つ生徒たちに、そういった温かい言葉をかけていた衛だったが、随分前から気になっている事があった。  陽が、いないのだ。  皆がそれぞれに別れを惜しみあっているその中で、さっさと独りで教室を出て行ってしまった陽。  だが、そんな中で安心した心地もあった。  彼がいる場所は、だいたい見当が付いていたから。

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