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第二章・23

「こんにちは」 「……あらッ! もしかして、陽ちゃん!?」 「お久しぶりです、左近先生」  きゃっきゃと僕の手を取りはしゃぐ左近先生のお化粧は、少し濃くなったようだ。  さすがに年齢を気にし始めたのかな。  あれから時が過ぎた。  言いつけを守り、陽は専門学校を卒業するまで衛に会いに行かなかった。  淋しかったし、慰めたり励ましたりして欲しい時だってあった。  だが、そこはぐっと我慢した。  自分でも、自信が無かったのだ。  ここで衛に会ってしまうと、甘えてしまうと、何もかも放り出して彼の側から離れられなくなりそうだったのだ。

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