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第二章・26

 恐る恐る、座ってみる。  肌触りがよく、体によく馴染んでくる。  これは、とてもいいものだ。 「気に入ったか?」  突然声がかけられ、陽は飛び上がった。  だけど、この声は。  この聞きなれた、懐かしい響きは。  アレカヤシの影から、この数年間ずっと恋焦がれていた男が現れた。

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