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第三章・4

「衛」 「ぅん?」 「幸せ。すごく、幸せ」  瞳がうっとりと潤んでいる。  ねだられるまま、衛は畳に座った背中を丸め、陽の唇を吸った。 「衛……ッ」  たまらない、と言った風にその両腕を衛の首に回し、自ら激しく求めてくる陽だ。  何度も何度も口づけ、そのたびに唾液と柔らかな唇が擦れ合う音がした。  そして彼の春色のシャツが乱れかけたところで、衛は静かに離れた。 「ヤだ。衛?」  どうして抱いてくれないの? といった、おねだりの視線にくらりときた。  だがそこは、年上の分別を持って陽を制した。 「まだ昼日中だぞ。それに、畳で寝ると肌が擦れる。後で痛い思いをするからな」  ぷぅ、陽は頬を膨らませた。  昼日中って、温室で抱いてくれた時も、真昼間だったのに!

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