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第三章・5

 寝室は2階だ、との衛の言葉に、陽は勢いよく階段を上った。  フローリングの洋間が二つ。  その間に挟まれるように、畳の和室が一つ。  広い方の洋間に、ダブルベッドがあった。  ここが、寝室だ。  ベッドは重厚な木の素材でできた、安定したフレーム。  ぽん、と飛び乗ってみると、マットレスは優しく陽の身体を受け止めてくれた。 (え……、もしかしてウレタン入り? いや、ひょっとするとラテックスかも)  むふふふ、と陽はベッドに頬ずりし、後についてやってきた衛を見上げた。 「もう、衛ったら。スケベ! 変態おやじ!」 「なぜ、そこまで言われなきゃならないんだ!?」  だってぇ、とこれまた猫のように眼を細め、陽は甘えた声を出した。 「快適な夜の生活に、出費を惜しまないなんてさ♪ いいよ、今夜してあげても」  何を言ってるんだ、と返事はやけにあっさりしたものだった。  いや、想像をはるかに超えていた。 「家だけでなく、家具もほとんど全て置いて行ってくれてな。俺が準備したものは本当に少ないんだ。このベッドも布団も、前の家主が使っていたものだ」  え、と陽は体を起こした。

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