62 / 152
第三章・10
ちょうど湯呑みにお茶を注いだところで、衛は戻ってきた。
渡したいものがある、と言っていた通り、手に何か持っている。
「はい、衛。お茶だよ」
「うん、すまんな」
衛はお茶を口にする前に、手にしたものを陽に差し出した。
「何、これ」
「預金通帳だ。名義はお前にしてある。大事に使えよ」
通帳、って、と陽はぽかんとしてページを繰った。
真新しい口座には、すでに記帳がしてある。
そしてその桁数に、ギョッとした。
ともだちにシェアしよう!
fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
62 / 152
ともだちにシェアしよう!