68 / 152
第三章・16
ことん、と寝入ってしまった気まぐれな猫。
柔らかな髪が衛の肌にさわりと触れるたびに、ぞくぞくと性欲が湧きあがってくる。
しかし、寝ているところを犯すほど、自分は身勝手な男ではない。
「蛇の生殺し、というやつか……」
はあ、と深く息をついて、衛も瞼を閉じた。
明日の朝も早い。
陽より早起きして食事の用意をしなくては、彼は朝まで無食で出勤しかねない。
トマトのオムレツに、豆のサラダ。
カフェ・オレとハムサンド。
朝食のメニューを考えながら、衛もまた眠りに就いた。
ともだちにシェアしよう!