69 / 152

第四章 甘い休日

「やばい! 寝坊した! 遅刻遅刻!」  ある日、陽は通常の3倍焦りながら家中をバタバタ走っていた。 「牛乳一杯くらい飲め。体が持たんぞ!」 「そんなヒマ、なーい!」  ちょっと待て、車で送ってやる、と髭剃り途中の衛に、待ってる時間なんかない、と陽は飛び出して行ってしまった。  急いで自動車で後を追ってみたが、彼の姿は道にもバス停にも見えない。  どうやら、すでにバスに乗ってしまったらしい。 「これは、生活習慣を見直さなきゃなぁ……」  このままでは、本当に体を壊してしまう。  冷蔵庫にマグネットで貼られた陽のシフトでは、明日は休みのはず。   今夜はゆっくり話し合ってみよう、と衛もまた出勤した。

ともだちにシェアしよう!