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第四章・12
その日、衛と陽は久々に二人の休暇を楽しんだ。
ちょっと海辺までドライブをしてみたり、小洒落たカフェでランチをしたり。
マーケットで仲良くカートを転がしながら今夜の食事の買い物をし、まだ明るいうちに家へ帰った。
「今日こそ、俺の作る夕食をゆっくり味わってもらうぞ」
「ヤだなぁ。衛の御飯なんか食べたら、食中毒起こして死ぬ」
笑いながら、二人で広いキッチンに立った。
自炊など、これまでやった記憶がない。
デリバリーや外食、レトルトに弁当などで済ませるだけだった陽にとって、衛の手料理は意外な楽しみの一つだった。
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