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第四章・20

 だけど、啼いてなんかあげないんだから。  意地悪な衛に抱かれて、悦がってなんかあげないんだから! 「んッく、ふゥッ! んッ、んッ、んんあぁ!」 「本当に、意地っ張りだな。お前は。気持ち悦いだろう? だったら声を出せ。聴かせてみろ、俺に」  そんな風に余裕で長々と喋りながらも、腰をやることは止めないのだ、衛は。  ぴったりと陽の背に腹を密着させ、衛は手指を絡ませてきた。  体全体を重ねて組み敷き、耳元に唇を持ってきて甘い声で命じてくる。 「啼け、陽。悦がって見せろ、俺に。そしたら、ご褒美をあげるぞ?」  ぶるッ、と陽は震えた。

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