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第五章・4
浮気かと早合点した自分が恥ずかしく、衛はいつもよりやや荒っぽく陽から布団を取り上げようと引っ張った。
「いやー! (>_< )( >_<)」
「布団から離れろ!」
「やめろぉ、衛! ばかぁぁーッ!」
「仕方のない奴だ」
衛は掛け布団で陽を簀巻きにし、小脇に抱えて寝室から運び出した。
布団に巻かれたまま、食卓についた陽。
まだ寝ぼけていた脳が、胃が、おいしそうな朝食の匂いに動き出した。
黙って衛が出してきた粥を、こちらも黙って眺めた。
柔らかく煮られた真っ白な御飯に、茶、緑、赤の配色が美しい。
口にする前から視覚で、おいしいですよ、と語りかけてくるような、そんな粥だ。
「何、これ。何でこんな色してんの」
「真ん中の茶色いものはアサリの佃煮、緑色はエンドウ豆、赤はトマトだ。米からちゃんと炊いた粥だから、美味いぞ」
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