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第五章・7

「いい加減にしろ!」  初めて聞く衛の荒げた声に、陽はびくんと身をすくめた。  ヤだ。  何だよ、それ。  ひどい。  衛、ひどいよ。 「衛の、馬鹿ァッ!」  言葉を放ってすぐに衛も後悔していたので、慌てて陽を呼び止めた。 「待て! 車で送ってやる!」 「いらない!」  その後は部屋に閉じこもり、ばたばたと着替えて家を飛び出してしまった。  俺が大人げなかった、との思いは夜になるまで衛の心から消えなかった。

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