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第五章・9

 そんな事をぼんやりと思いながら陽の帰りを今か今かと待っていたが、さすがに22時を過ぎると心配になってきた。  この時刻になると、バスの本数もぐっと減る。  遅くなったらタクシーを使えと、日頃から言ってはいるが。 「連絡もない、とは」  帰りが遅くなる時は必ず電話かメール、LINEを寄越して来るはずなのに。  仕事にも慣れ、友人も増え、大人びた自己主張をし始め、しっかりしてきたとは言え、彼にはまだまだ危ういところがある。  そこへ、つけっぱなしのTVから不吉なニュースが流れてきた。  一家全員の変死体がその住まいから発見された、というのだ。

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